第16話 屋敷前
馬車はクレア家に着くと数名の使用人が出迎えた。ジェイドが馬車から降りると使用人に取り囲まれた。
「何で!?」 ジェイドは困惑の表情を浮かべる。
「貴方様が逃げない様、うちの者を待機させておりました。」 爺やがにっこり笑いながら答えた。
「グヌヌ・・・やりおる。」
その中、一人の女性が歩み寄り声を掛ける。
「お久しぶりです。オージェンおじ様。」 その女性は深々とお辞儀をした。
「おお、君は・・・本物のスフレちゃんか!・・・すっかり美人さんになっちゃって、出るところも出て良いですね。」
「本物?・・何の事かわかりませんけど、後の発言はセクハラですよおじ様。」
「いやー失敬失敬。・・・で、おじ様は辞めようね。せめておにーさんでお願いします。」
「姉さま、この人の事を知っていたのですか?」 シフォンが話しに割って入ってくる。
「あら、シフォンちゃん姿を見ないと思ったら、爺やとお迎えに行ってくれてたのですね。」
「いえ、そう言う訳では・・・・そんな事よりその人と知り合いなの?」
「そっか、シフォンちゃんは、憶えてないのね・・・小さかったからしょうがないか・・・昔、遊んでくれたんだよ。」
「そ・そうなんですか・・・」 シフォンは思い当たるふしがあったが、それを押し殺した。
「お嬢様。お話は後程と言う事で、先に御主人様の元へ彼の御仁を案内しとうございますので・・」
爺やの指示で二人の使用人がジェイド=オージェンの両脇に立ち腕を抱え、引きずる様に屋敷へと入って行く。
「ちょちょ待った待った!そんな引きずらなくても、逃げたりしないよ絶対。」
爺やはため息をつくと。 「オージェン卿。貴殿が本気ならばとっくに逃げているでしょう。我々では貴殿を捕まえる事は至難の業なのですから・・・貴殿のお遊びに付き合っているのですから、素直に従って下さいませ。」
「・・・すんません。お手数掛けます。」
ジェイドーオージェンと使用人達が屋敷内に入って行くのを見送るかたちで、シフォンとスフレの姉妹が玄関口で残された。
「相変わらず愉快な方ですね。オージェンおじ様は。」
「何なんですかあの人は!!」
「そうそう、この間の伝説記(レジェンダリー)の写しを読める人の事だけど・・・多分オージェンおじ様だと思うんだけど、私も朧げな記憶だから、はっきりと言い切れないけど間違いないんじゃないかな。」
「・・・・信じられないです。だって、お兄さまよりちょっと年上って感じじゃないですか!あの人が古代文字を読めるとは、到底考えられない!」
「そうかな~・・・それにしてもおじ様、昔と全く変わらぬ姿でした。まるで年を取らないかの様でした・・・」
「そう言えばあの人、自分は死んだとかのたまわっていたわね。」
「昔からそんな事を言ってましたね確か・・・おじ様特有の冗談だと思ってましたけど、案外本当の事かも知れませんね。」
「姉さま、それはちょっとどうかと思います。死んだ人が自由に歩き回る訳ありません。両脇を抱えられて引きずられながら屋敷に入った人ですよ。冗談を真に受けてはいけません。」
「でも、その方が面白いじゃない。」
「姉さま・・・何気に面白がってるだけですか・・・・」
「うん、そだよ~。こんな所で長話してないで私達も中に入りましょ。」
話を終えると姉妹も屋敷の中へと入って行ったのであった。
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