海の藻屑となった闘技場、そして新たな舞台。
世界最強の異能者を決める闘いの舞台として、巨大な闘技場が設計建築された。
安全面と土地確保の両方から配慮し、太平洋の真ん中に海上に浮かばせる提案がされ、それを各国政府は了承し建設が開始された。
建設に際しては、地震や津波などの自然災害からも防御可能な耐久性を持たせ、異能者組織からの協力もあり、あらゆる異能の力にも耐えうる強度が保証されていた。
ヴァルホルは、単なる闘技場ではなく、科学技術と異能力の結晶であり、世界最強を決める最高の舞台! であり次世代の頂点を目指す者たちの目標になるために作られた。
しかし、
その壮大な夢と期待を裏切るかのように闘技場は、たった一戦しただけで海の藻屑と消え去った。
闘技場の設計者たちの想定をはるかに超えてる、あまりにも強大すぎた力だった――鬼才対奇才が。
その戦いは歴史に刻まれた!
海上闘技場の消失とともに、多くの者たちの心に深い衝撃を与えた。その戦いのデータは慎重に収集され、解析された。
そして、
そのデータを元にして、新たな闘技場が最近、無事に
崩壊した海上闘技場、ヴァルホルのデータを基に各国の専門家たちが、再び集結し、新たな闘技場の建設に着手した。
今度こそ、どんな異能者の力にも耐えられるようにと、設計はさらに強化され、最新の技術が惜しみなく投入された。
素材は超高強度の合金であり、内部には何層にも渡る防御システムが組み込まれた。外部からの攻撃はもちろんのこと、内部での異能者たちの衝突にも耐えられるよう、厳密なシミュレーションが繰り返された。
特に重視されたのは、安全性だった。
ヴァルホルが崩壊した際、世界中がその危険性を目の当たりにした。太平洋周辺諸国だけではなく、全世界が緊急対応をすることを余儀なくされた。
ヴァルホルの崩壊進行は、闘いが始まったところから止まらなかった。
鉄骨の支柱が次々と崩れ落ち、内部の構造が無惨にも崩壊していった。特殊合金で覆われた壁が次々に破壊され、破片が海に向かって飛散した。
全体がゆっくりと傾斜を始める。
ヴァルホルは、潜水艦に用いられている
潜水艦は沈む時に海水を外から取り入れ、中の空気を外に出し。浮かぶ時は取り込んだ海水を外に出し、中の圧縮空気によって空気を増やし浮上する。
空気と海水の量を調整することによって、潜水艦は浮力をコントロールして浮き沈みする。
傾き始めるということは、搭載されていたバラストシステムが駄目になっていることを意味していた。
傾けば自然と内部に海水が流れ込んで来る、そうなれば沈没の速度が徐々に加速していくのは明白。構造物の一部が完全に水没し、海面上には闘技場の上部のみが辛うじて見える状態となった。しかし、その上部も次第に海面下へと沈み込み、巨大な建造物をより巨大な怪物が呑み込むように、太平洋に消え去っていった。
この突然の災害に対して、太平洋周辺諸国は行動した。主要国は即座に海上救助隊や調査船を派遣し、沈没の原因と影響を調査した。国際的な海洋保護機関も動員され、海洋生態系への影響を最小限に抑えるための対策が講じられた。
すぐさま沈没の原因は、建築上の欠陥ではなく。二人が予想を遥かに超える破壊力によるもので、あったことが発表された。
過去に建設されていた闘技場のデータを元に強化し、安全面マージンも通常以上に余裕を持たせていたにも関わらず――海の藻屑へ。
各国の異能者組織や政府機関は、その脅威を改めて認識することとなった――
ヴァルホルの沈没による経済的影響は計り知れなかった。
闘技場の建設には、各国の大手企業や政府が巨額の資金を投入しており、沈没による負債は想像を絶するものだった。保険会社は被害額の算定に追われ、関連企業の株価は急落し、世界経済に波及する可能性も指摘された。建設を担当した各企業は、その信用を一気に失い、再建を余儀なくされる事態になった。
世紀の大事件でもあり、大事故だった。
奇跡的にも、大惨事ながらも人的被害は皆無だった。
闘技場の安全システムが迅速に作動し、計画に携わっていた各国関係者に、緊急連絡が発信された。
戦闘開始の合図が出て、二人の異能者が数百近くのドローンたちを木っ端微塵に、吹き飛ばしたときから。ドローンを通して見ていた、異能者組織や救助部隊は、即時に対応をしていたことが功を奏し、犠牲者を出さずに済んだ。
それは関係者にとって唯一の救いとなった。と、同時に新たな協力体制の構築が、誕生した。
災い転じて福となす!
ヴァルホルが崩壊の兆しを見せたときから、異能者たちは事態の深刻さを直感的に察知した。彼らはすぐさま現場に集結し、状況を分析した。異能者の一人は刹那に空間を認識し、崩壊の進行方向や時間的猶予を正確に把握した。情報は、即座に救助部隊に伝えられた。救助部隊はそのデータを元に迅速な行動をし、効果的な避難ルートを確保するための作戦を立案した。
救助部隊が避難誘導するなか、異能者たちはその特殊な能力を駆使して支援を行った。例えば、重力を操作できる異能者は、波の衝撃で揺られ転覆しそうになっている船を浮遊させることで、転覆を阻止した。
別の異能者は、瞬刻に壁を形成する能力を使って、衝撃で飛翔する破片を防護壁を設置し、被害を最小限に食い止めた。
また、瞬間移動の能力を持つ異能者は、漂流物が邪魔している、航路の確保に尽力した。それだけでなく海岸周辺の移動が困難な人々を、即座に安全な場所へと移送した。
活躍は異能者だけではなかった。
一方、救助部隊は専門的な訓練を活かし、異能者から提供された情報を最大限に活用して行動をしていた。彼らの長年の救助経験と冷静な状況を判断により、各ゾーンに居る救助部隊に適切な指示を伝えた。異能者が避難ルートと確保と沈没による余波を防いでいる間に、救助部隊は的確に人々を安全な場所へと導く役割を果たした。
異能者が創り出した一時的な防護壁や物体浮遊する力などを使用してもらうことで、スムーズに医療支援ステーションの設置ができ、負傷者の初期治療が円滑に行われた。患者に対して運ぶという移動時間との勝負を異能力によって、大幅な短縮ができたことで、処置対応に時間を取ることができた。
危機的状況での異能者と救助部隊の連携は、非常に高い成果を上げた。両者がそれぞれの能力や技術を最大限に活用し、互いに補完し合うことで、人的被害を完全に回避した。これにより、異能者と一般の救助部隊の間には、これまで以上に強い信頼関係が築かれることとなった。
異能者たちは自らの力が人々を救うために直接的に役立つ場面を目の当たりにし、その使命感を再確認した。
救助部隊は異能者の存在がもたらすメリットを実感し、彼らとの協力が不可欠であることを見据えた。
経験を通じて、両者は今後の災害や危機に対しても、より効果的に連携できる自信を得ることとなった。
事件を契機に異能者組織と各国政府は歩み寄り、関係強化するための取り組みが、活発化された。
今では定期的な共同訓練を実施することで、異能者と救助部隊が互いの能力を深く理解し、効果的な対応が可能な体制が整えられつつあった。
異能者と救助部隊が無言のうちに息を合わせ、それぞれの得意分野で補完し合う姿は、まさに科学と異能が一体となった救助活動の模範と言えるものだった。
異能者の存在は、これまで一部の人々にとっては恐怖や不安の対象であったが、救助活動を通じて、その力がいかに人類全体の利益に貢献できるかが明確に示された。
これにより、異能者に対する社会の見方も徐々に変わり始め、異能者と一般社会との共存がより現実的なものとなっていった。
前回の反省を踏まえて、同じ過ちを繰り返さないよう、各国政府と企業が共同で資金を投入し、最高の技術を結集してた闘技場の建設が進められていた。
そして、完成した――仮想都市闘技場、メガロポリス・パレス
コンセプトは、血生臭さくない娯楽を!
魔闘士たちが繰り広げるバトルは、確かに特定のファン層にとって非常に大きな魅力があり、エキサイティングで劇的なショーとしての需要も存在する。しかし、闘いには血生臭さや暴力性が付きまとい、特に一般の家族層や穏健な観客には受け入れがたい側面もあった。
観客を興奮させる一方で、一部からは“野蛮”、“過激”といった批判も根強い。
運営側は、魔闘士バトルに依存することなく、より幅広い層の観客をターゲットに、娯楽提供する必要性を感じ。他のエンターテイメントイベントにも、対応できる柔軟な構造を持たせることで。
施設全体の価値を高め、多様な収益源を確保する戦略が採られたのであった。
一部の大衆文化だけに頼る時代ではなく、音楽、スポーツ、eスポーツ、シミュレーションゲーム、
そんな人々が求める体験多様を実現させる設計が施された夢の施設。
の、
天井が降ってくる。
「……俺のお小遣いが…………」
両手を天に向け前に突き出す――輝き始めた!
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