【特別付録】 竜勇者チェンバレコフ
※ 竜勇者を自力で執筆したいという方は、比較材料になると思うのでまあ後で読むもよし、先に読んで自分ならこうする! と書いてみるのも作家の意欲ですから、
まあ気楽に竜勇者チェンバレコフの短編を書いてみてもらえると、
各タスク指示文書例を書いた当人としては嬉しい限りです。
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では、竜勇者チェンバレコフの戦いをどうぞ
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あまねく銀河の星一つ、あたたかな太陽に恵まれし我らの星は、今や悪の虫魔王チャガイッチャリキュールによって蝕まれつつあった、虫だけに。
だが悪が栄えた試し無し、古今東西宇宙の果てまで、正義の心が呼応する、立ち上がりし勇者の姿、竜をいただく頭頂と全身を輝く竜鱗の鎧で飾られた、今まさに虫魔王の軍をなぎ倒し、羽虫をまとめて竜の息吹で焼き払い、竜の爪とも言われる竜剣で巨大なカブトムシを一刀両断、弾き飛ばして城門砕き、魔王の城に踏み込んだ!
「タルッカラジャ姫ェェェ!!!!!」
叫び声は城に響いて、中央の塔の螺旋階段を駆け上がり、上から攻める巨大ムカデの強靭な顎をするりとかわして頭部をたたっきる!
どこだ!? どこにいる!? 虫魔王!? タルッカラジャ姫をさらって、この世界を悪虫で覆いつくさんというその野望を、いまこの竜勇者チェンバレコフが切り裂いてくれようぞ!!!
「はっはっはっは! 待ちわびたぞ竜勇者! あと少し遅ければ姫は我が子たちの苗床となり、私の支配する世界の母となっていたであろう! 」
「させるものか!」
竜勇者チェンバレコフは剣を前に構えて螺旋階段の中央踊り場の上で鉄の檻籠からのぞく姫の姿を見つめ、虫魔王が支配する円形の踊り場に踏み込んだ!
「なりません! チェンバレコフ! いくら竜の血筋を引くあなたでも! 虫魔王の毒牙を受けては! ――――――私を置いて逃げるのです! あなたには死んでほしくはない!」
「タルッカラジャ姫! 私は、我が身にかえても!」
虫魔王チャガイッチャリキュールの尾っぽが鋭く伸びてきて突出した先端の針が、チェンバレコフを襲う!
「チェンバレコフ!?」
だがその瞬間、チェンバレコフは利き手の剣を隠すように竜の顔のついた盾を前に構え、毒針をすんでのところではじき返した!
「ちぃぃぃぃぃぃ!? こやつ! だがこれでどうだ、くらえブンブン千本針殺法!」
刹那! 盾を構えて突進して利き手の竜剣を振りかぶって虫魔王チャガイッチャリキュールに斬りかかるが、さすがの虫魔王、剣が楕円の軌跡を描いて切り払ったのは魔王の衣だけであり、頭上にハチのように飛ぶ新たなる虫魔王の姿ありて、毒針の雨あられを降らす!
「チェンバレコフ! くっ私には見守ることしかできないの!?」
姫の目元から一滴輝き落ちて姫の心臓に落ちた。鼓動が全身に走る。
「やったか!? ぬうっ!?」
全ての針を頭上に掲げた盾でしのいだチェンバレコフは辺り一面に刺さって毒液を巻き散らかす虫魔王の千本針に目を向けると、一挙に口に業火をマグマのようにため込んで地の空間を炎で包み込んだ!
「貴様あ!? だが! 我は決して貴様の炎には焼かれぬ! 我は空を地中を世界をありとあらゆるものを蝕む! 虫魔王ぞ! くらえ!
両腕サソリクローアタック!」
叩きつける虫魔王の連撃は次々とチェンバレコフの盾を深く押し込んで、さすがの竜勇者も足腰に響く重たい一撃一撃に、態勢は膝をつくようになり、満身創痍という具合! 炎に囲まれた竜勇者自身も身を焦がすとなれば、このままではその命が危うい!
「竜の飛翔! 竜巻竜牙竜剣撃!」
竜勇者はただ耐えるだけでは無かった、深く体を沈めたに見えたその全身のバネは筋肉を引き絞って飛翔の機会を狙っていたのだ!
宙に逃げる虫魔王に回転しながら迫る竜剣の絶技は、まさに空を飛ぶ竜そのもの! だが虫魔王チャガイッチャリキュールは!?
「フーッハッハッハ! 無視無視無視無視ィィィィィィィィ!」
トンボの翅を得て、高速で飛び交いながら空中制止のホバリングを繰り返して、竜勇者の飛翔の軌道をかわしながら、トンボの尾っぽで突き刺そうと襲い来る! 竜勇者の竜牙はかわされ、城の内壁にぶち当たって、壁に張り付くような姿勢で止まった!
「チェンバレコフ!」「タルッカラジャ姫!」
見つめ合う視線は互いを見つめて双方が過ごしてきた時間の溝を容易に越えて! 「受け取って! 私の心を!」
タルッカラジャ姫の胸が輝き、姫の証ともいえる首飾りの宝珠、”ファイアドレイクの瞳”が燃えるようにチェンバレコフの瞳に飛び込んだ!
「くっ!? 小癪な真似を! だがすでにこの場は我がもの!
くらうがいい! 千年毒蛾の鱗粉を!」
虫魔王は再び変化し巨大な蛾の羽を羽ばたかせ、限られた空間を煌めく毒の鱗粉で埋め尽くす! が! その鱗粉を一層金に煌めかせる炎の翼が竜勇者に重なって! 鱗粉を毒を焼き払いながら携えた炎の竜剣を虫魔王に掲げて迫る!
「ぐ!? だが接近したのが運の尽きよ! われの真の姿を見るがいい
虫魔王チャガイッチャリキュールは頭頂部に二つの大あごをとがらせて、今や紫色の巨大なクワガタ、クワガタサタンへと変貌を遂げて!
両の顎で炎の竜勇者を真っ二つに挟み込もうととびかかる!
圧倒的な甲虫の重き体当たりを前に竜勇者はほとばしる炎の翼を竜剣に巻き込んで、いま、最強と一撃を叩き込まんと、太陽を縁取るほとばしる太陽コロナの輝きと噴き出すプロミネンスに竜剣の刃を晒して正円を描き!
ファイアドレイクの瞳をいただく左目を燃え上がらせて!
声高く! 迫る虫魔王に解き放った!
1了
「最強必殺ドラゴングレードフルバティストゥータグレネイド!」
炎! 竜勇者必殺の太刀が虫魔王のクワガタサタンの両顎を切り裂くと爆熱ととも虫魔王チャガイッチャリキュールに接近しその剣を突き立てた!
虫魔王の変化した体は次々と輝き連鎖的に爆発を起こし! 七色の輝きと共に百八つの虫の姿に変化するたびに爆炎を放ち、業火のきらめきが、姫の目に映り込む! 今まさに竜勇者に受け継がれた姫の心が!
長年、王国を覆っていた虫魔王の軍団を終わらせるべく!
虫魔王の心の臓を焼き続ける! 貫き通す! 竜勇者チェンバレコフと
姫の心のほとばしりが! いま悪しき邪心に最後の時を!
2了
「ぐおばああああああああ?!?! おのれ竜勇者チェンバレコフ!
この復讐は貴様の末代まで祟って絶対許さじの運命極みだぞおお!」
竜勇者チェンバレコフが勢いよく虫魔王チャガイッチャリキュール胸から剣を引き抜くと! そのまま虫魔王の胸を焼き尽くす業火がマグマのようにあふれ出て! 火山噴火の勢い保ち! いまこの魔王城の螺旋塔の頂上まで立ち上る火炎旋風となって、その天井を打ち破る!
姫を横切る光の柱! 見上げる姫は鉄の鳥籠越しに暗雲立ち込める天に向かって立ち上る竜の魂を見た! 姫に横目で告げるその炎の竜は大きな口に虫魔王を加えて暗雲の中を突っ切って、天の星々がのぞく大穴を厚い雲払って広がり続ける空の深さ! 深淵なる宇宙に輝く命の花火となったかの竜、ファイアドレイクの心を確かに見取った。
虫魔王の死ととも、辺りは震撼し、魔王城を保っていた魔力が悲鳴を上げるように尽きると、そこに残された城は天を見上げれるほどに口を空け、城の主が去ったことを城内を吹き抜ける風が共に示した。
静寂がこの魔の大地にもたらされた、螺旋階段の足をかけて佇む竜勇者の安堵と、姫が胸に抱いてきた真実の竜の姿は重なって、タルッカラジャ姫は竜勇者チェンバレコフの瞳を見つめた。
3了
囚われの檻をチェンバレコフは錠前を叩き切り、姫を螺旋塔の外へ連れ出すと、魔王城の大屋根の上を星空の下、二人はゆっくりと歩きだす。
徐々に赤らむ山麓の連峰連なりを見つめて星が名残惜しく、二人を祝福しながら天宮を回転する。 姫は空の星を冠して立つかのような天使の輪をつややかな髪に宿して、竜勇者はゆっくりと頭頂にいただく竜兜を脱いで、姫の前に素顔を見せた、両者は何も冠せずとも星明りがその権能を与えてくれる。
赤らむ空の果てを見る二人の影は風になびく髪、姫のドレス。
今は静かに勝利の余韻の中に。
姫は竜勇者のほうに向きなおると。
「悪は、悪はほろびたのですね!? チェンバレコフ!」
4了
竜勇者は姫の目を見つめ、そして日の登る場所に姫に対する答えを見つけた。
「いえ、
タルッカラジャ姫! この世が続く限り再び悪は現れるでしょう!
この竜勇者チェンバレコフ! タルッカラジャ姫のため!
第二第三の虫魔王チャガイッチャリキュールを
倒し続けることでしょう!
うおおおおおおおおお!!!」
竜の勝利の咆哮が、太陽を呼び出したか日輪の光の放射、
その聖なる暖かさに天高く掲げた竜剣はまばゆい光を反射して、
呪われし大地を浄化するように照らし出していく。
駆ける馬の足音を二人が振り返り様見ると、魔王城の城壁の外で、竜勇者の愛馬が待ちわびる。
「行きましょうタルッカラジャ姫!」 「ええ! チェンバレコフ!」
姫を抱きかかえた竜勇者はどこまでも広がるパノラマ大地に降り立って、
愛馬に降りた二人は朝日に向かってかけていく飛び馬にまたがり、
どこまでもどこまでも走り去っていった。
やがて出会うだろう悪に対しても、
ふたりの心臓なら乗り越えられる。
5了
おしまい
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各タスク指示文書例)
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1
「最強必殺ドラゴングレードフルバティストゥータグレネイド!」
2
「ぐおばああああああああ?!?! おのれ竜勇者チェンバレコフ!
この復讐は貴様の末代まで祟って絶対許さじの運命極みだぞおお!」
3
「悪は、悪はほろびたのですね!? チェンバレコフ!」
4
「いえ、タルッカラジャ姫! この世が続く限り再び悪は現れるでしょう! この竜勇者チェンバレコフ! タルッカラジャ姫のため! 第二第三の虫魔王チャガイッチャリキュールを倒し続けることでしょう! うおおおおおおおおお!!!」
5
各ナンバリングタスク加筆指示:
1竜勇者と虫魔王が対峙するいきさつと戦闘に入る前の口上、囚われの姫
2最強必殺を受けての虫魔王の一挙手一投足、姫の目に映った力の輝き
3虫魔王の強大魔力が果てる時の衝撃に世界震撼後、静寂に佇む姫と竜勇者
4囚われの檻から姫を救い出し共に魔王城から日の出を見る二人のカット
5天高く剣を突き上げパノラマの大地を光の中に馬で走り去る二人の影、終
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タスク! 小説進捗管理法! ※作例アリ! ウゴカッタン @kak16kyou
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