第107話 case107

くるみはポーションを飲みながら血まみれになり、戦い続けていた。


『キリがない… 大元がどっかにいるのかな…』


そう思いながらアックスを振り抜くと、血まみれになった手から、幻獣のアックスがスポッとすり抜けた。


『ヤバ!!』


慌てて手を伸ばしてアックスを呼び戻そうとしたが、キマイラの蛇が邪魔して、手を伸ばすことが出来なかった。


すぐに凍結のアックスを装備し、蛇の頭を振り抜き、またしても返り血を浴びてしまう。


『手、洗いたい』


そう思っても、次々に襲い掛かってくる魔獣相手に、手を休めることが出来なかった。




くるみの父親は、飛び回っているくるみを眺めていると、くるみの装備していた幻獣アックスがくるみの手から離れ、亮介に向かって回転しながら襲い掛かろうとしているのが視界に飛び込んだ。


『マズイ!!』


父親はそう思い、咄嗟に手をかざしてアックスを呼び寄せると、アックスは軌道を変え、縦回転をしながら父親の前に突き刺さった。


それを見ていた母親はクスっと笑い「パパ、いってらっしゃい」と言いながら、補助魔法をかける。


葵はそれを見て「え? ウィザード様じゃ…」と言いかけると、くるみの父親はブラックパールの鎧に身を包み、くるみの幻獣アックスを手にして飛び出した。



くるみがのヤギと戦っていると、突然「どけえええええ!!!」と呼ぶ声が聞こえ、振り返ると父親がアックスを構えて飛んでくる。


「え?」


くるみは思わず手を止めると、父親はヤギ諸共ライオンの頭を切り裂き、血の雨を降らせていた。


「は? 何してんの?」


「説明は後だ。 骸骨とラミアを狙うぞ!!」


「は? あたしのアックスで?」


「ついてこい!!」


父親は生き生きとした表情で空を飛び、くるみは理解が追い付かないまま父親の後を追う。


ウォーリア賢者はそれを見て「とうとう行きやがったなぁ」と、言いながら笑い、魔獣を切り倒していた。


亮介もそれを見て「え? ちょっと待て。 ウィザードなのにアックス?」と聞くと、ウォーリア賢者は「がはは」と笑った後に答えていた。


「実はマジックウォーリアなんだよ。 娘にかっこいいと思われたくて、ウィザードって言い張ってただけだ。 小娘のあの魔力は父親譲りなんだよ。 無鉄砲なところもな」


「マジか…」


亮介はそう言いながら魔獣たちをなぎ倒し、賢者以外のみんなは不思議に思っていた。


くるみは父親の後を追いながら「大元が居るはず!!」と大声で言うと、父親は「骸骨とラミアだ!」と大声で答えた。


父親と共に勢いよくシェルターの向こうに居る骸骨とラミアを狙うも、あと1歩のところで空間が歪み、2人は勢いよく跳ね飛ばされ、親子仲良く母親の足元に転がっていた。


「痛ぇなぁ!! なにがついて来いだよ!! 計算してから突っ込めっつーの!!」


「んなの知るかよ!! あいつが闇属性なんて聞いてねぇんだよ!!」


「はぁ!? 父親の癖に逆切れかよ!!」


「んだと!? 娘の癖に父親にキレてんじゃねぇよ!!」


「大体ウィザードじゃねぇのかよ!!」


「うるせー! 続きは後だ! 先にやっちまわないと喧嘩すらできねぇだろ!」


「あ、確かにそうだね」


くるみはそう言うと、回復魔法をかけてくる葵から、マナポーションを受け取っていた。


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