第106話 case106
その頃集会所では、りつ子の案内で、地下にあるシェルターに全員が避難していた。
りつ子が機械を操作すると、白い壁一面にくるみや亮介の姿が映し出される。
「クラスメイトが戦ってるのに、見ない訳にはいかないわよね。 これはサービスしておくわ」
りつ子はそう言うと、特等席に椅子を置き、祈るように手を組みながら、教師やクラスメイトと共に、モニターを見つめていた。
全員が戦闘位置に着いた後、ノリが切り出した。
「セイジ~ 作戦はぁ?」
セイジはクスっと笑った後、大声で言い放った。
「狙いはどれでもいい! とにかく押し返せ! それと絶対に死ぬな! わかったな!!」
「「「イエッサー!!!」」」
セイジのギルドだけではなく、Sランクギルドや賢者たちも声を上げ、くるみの父親は更に強く拳を握り締めていた。
くるみは太一の横にしゃがみ込み、アックスを担いで狙いを定める。
するとセイジがくるみの背後に立ち「炎で良いか?」と聞いてきた。
「いいよ。 開戦の合図、出さなきゃね」
くるみはそう言うとにっこり笑い、太一とノリ、亮介までもがセイジの背中を押さえる。
Sランクや賢者たちは、不思議そうに3人を見た後、少し離れた場所に移動していた。
「3 2 1 ドーン」の合図で大きすぎるくらい大きな火球を放った後、5人はバラバラに移動し、魔獣たちに飛びかかる。
「遅れるな!!!」
セイジの怒鳴り声と共に、Sランクや賢者たちが飛び立ち、魔獣の群れの中へ飛びかかった。
「凄い…」
母親は、ありえないほど大きい火球を目の前に、呆然と立ちすくんでいたが、葵とヒーラー賢者は必死に補助魔法や回復魔法を飛ばし、時々マナポーションを投げていた。
くるみは風で空を舞いながら、葵から投げられたマナポーションを受け取り、飲みながらアックスを振り抜いていると、地上でゴロが氷の魔法を放ち、魔獣たちが凍り付いていることに気が付いた。
「ゴロちゃんどいてえええ!!!」
くるみはそう言いながら縦回転をし、アックスを思い切り床に叩きつける。
すると、周囲にいた魔獣たちは凍り付き、弾け飛んでいた。
ノリは機敏な動きで攻撃を躱しながら、魔獣の体にアックスを打ち付け、地上に着地すると、すぐ近くに居たSランクギルドのメンバーから「本当にA+?」と聞かれていた。
ノリは「先月までB」と言うと、すぐに飛び上がり、次々に魔獣の首を切り落とす。
亮介は大剣で攻撃を受け止めつつも、魔獣たちを切り裂き、止めを刺していると、ウォーリア賢者が背後に立ち「ずいぶん強くなったな」と声をかけた。
亮介は「彼女が出来たからかな」と笑いながら言うと、ウォーリア賢者は「はぁ!?」と声を上げ、隙をついてきた魔獣の攻撃を受けそうになるも、ナイト賢者とマジックナイト賢者のおかげで攻撃を食らうことはなかった。
セイジは次々に魔法を放ち、時々太一とタンクナイト賢者に回復魔法を放っていると、マンモスの魔獣が大きく鼻を振り抜き、太一は吹き飛ばされていた。
が、太一は突然現れた大きな鳥の背中に乗り、魔獣の群れの中に落ちることはなく、そのままセイジの前に送り返されていた。
「あの時の雛? ありがとう!!」
太一はそう言いながら、魔獣の群れの中を突き進み、盾で払いのけ続けていた。
くるみの父親は、くるみが空を舞い、戦っている姿を見つめていた。
『あんな小さかったくるみが… 魔力アレルギーで死にかけていたくるみが… 毎晩飲ませていたアレルギーの薬が、こんな形で効果を出すとは…』
父親はそう思うと、拳に力を籠める以外のことが出来なかった。
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