第83話 case83
全員が幻獣装備を手にした数日後。
学校を終えたくるみと亮介が集会所に向かうと、集会所の広場で話す、セイジと男性の姿を見つけていた。
その横には、太一とノリが直立不動で立っていて、くるみと亮介は不思議そうに顔を見合わせていた。
くるみと亮介が近づくと、セイジはそれに気が付き「この2人もギルド員です」と紹介する。
男性は優しく微笑みながらくるみの前に立ち、「シュウヤです。 よろしく」と言いながら、くるみの前に手を差し出す。
くるみはそれに応えるように手を握った瞬間、バチっという衝撃と共に火花が飛ぶ。
くるみは右手全体に電気が走るような痛みを感じたが、手を離すことはなく、手をしっかりと握り締めながら「姫野くるみです」と言い、シュウヤの手を凍らせていた。
「姫!!」
セイジが大声を出して止めようとすると、シュウヤはセイジを止めるように、左手の掌をセイジの前に出す。
くるみの手を握ったシュウヤの手は、みるみるうちに腕まで凍らせていき、シュウヤはクスっと笑った。
「ありがとう。 噂には聞いていたけど、ここまでとは思わなかったよ」
シュウヤはそう言うと、手から放っていた電気を止め、左手で右腕を回復していた。
「じゃあ行こうか。 準備してきて」
シュウヤの声の後、5人はギルドルームに向かい、ダンジョンに行く準備を始める。
くるみは準備をしながら「あの人が査定するの?」とセイジに聞いた。
「そうだ。 S級ギルドのギルドマスター。 ジョブはウィザードだ」
「ふーん。 雷ってどうやるんだろ?」
「あれは光属性と同じで、天性のものだ。 姫以外全員、幻獣装備を使うな。 ギルド倉庫に入れておけ」
「なんで?」
「戻ったら話す。 姫のアックスはもう見られてるからいいが、鎧は倉庫に入れておけ」
亮介とくるみは不思議に思いながら、ギルド倉庫に装備を入れる。
くるみはゴロに「行ってくるね」と言った後、みんなと一緒に集会所へ向かっていた。
シュウヤが検索機を弄っている横で、5人は1列になって待っていたが、普段のように雑談をしながら待っているのではなく、5人とも静かに背筋を伸ばして待っているだけ。
準備を終えたシュウヤは、無言でゲートの中へ入ってしまい、セイジがその後を追いかける。
『行くぞくらい言えばいいのに… いきなり攻撃されたし、父さんみたいで嫌な感じ。 あ、父さんも、元々はウィザードって言ってたっけ? あーやだやだ』
くるみはそう思いながら、ノリの後ろを歩き、ゲートの中へ入っていた。
ゲートの中に入り、大草原の真ん中に出てくるなり、シュウヤは「2時間以内にクリアして。スタート」と言い、勝手に査定を始めてしまう。
セイジは「姫、探してくれ」と言うと、くるみは「うぃーっす」と言った後、ジェット噴射を使って真っすぐ上空へ。
シュウヤは目を見開き、くるみを目で追っていた。
くるみは空中で辺りを見回した後、開けた場所が東と西の2か所にあることに気が付く。
急いで地上に降り立ち「あっちとあっち」と言いながら、指で開けた場所の方向を指さした。
「わかった。 東にはノリと姫で行ってくれ。 西には3人で行く。 終わり次第来、西に来てくれ」
ノリとくるみは「イエッサー」と言った後、東の方へ飛んでいき、3人は急ぎ足で西に向かって行った。
『二手に分かれるだと? 死人を出すつもりか?』
シュウヤはそう思いながら、セイジの後を追いかけていた。
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