第46話 case46

セイジに怒られた後、くるみは5人でダンジョンに入り、一人でツカツカと歩いてしまう。


くるみの怒りを表すように、くるみが通った後には氷が張られ、1本の道を作り出していた。


ノリがそれを見て「わぁお。今日のプリンセスロードは冷たいねぇ」と言いながら笑う。


「プリンセスロード?」


亮介が聞くと、ノリは「そそ。姫の作る道だからプリンセスロード。 亮介がイカないから」と、いたずらっぽい顔をしながら言っていた。


亮介は「行く?」と聞いた後、顔を真っ赤にし「違うって!あれは…」と言い、事情を話す。


ノリは話を聞き「なーんだ。ヤってたんじゃないんだ。つまんないの~」と言いながら、ゆっくりと溶け始めた道を歩き始め、セイジもその後を追う。


太一は亮介の肩をがっちりと掴み「俺は信じてた!!同志よ!!」と目を輝かせていた。



くるみは不貞腐れ、氷の道を作りながら歩き、飛びかかってくる魔獣たちを次々に氷漬けに。


凍った魔獣たちがはじけ飛んでも、足を止めることはなく、時々マナポーションを飲みながら歩き続けていた。


セイジはくるみの後を歩きながら考えていた。


『すごい… この道もそうだが、歩いてるだけで雑魚を倒してる… こいつの魔力、今までとは比べ物になってない… もしかしたら、S級に匹敵するかもしれん…』



遠くの方から魔獣の咆哮が聞こえると、くるみは無言で左手を掲げた。


すると、手を掲げた先で大爆発が起き、二つの山が更地になっていた。


「すごい…」


後を追いかけてきた太一が呟くと、金の蝶が舞い踊る。


くるみは金の蝶の前で立ち止まり、ゲートが開くのを待っていた。


『俺、やばい奴をキレさせたかも? 欲しがってたのは知ってたけど、あれは事故みたいなもんだろ? もしかして、嫌われた? そっちの方がやばくね?』


亮介はそう思いながらゲートをくぐり、くるみの後を追っていた。



くるみはギルドルームに入り、無言のまま作成機の前に立つ。


作成機の中は黒く靄がかっていて、何が出来たかわからなかった。


作成機の中に手を入れ、出来上がった武器を取り出すと、手にはヒーラーの武器であるステッキが。


くるみは眉間に皺をよせ、ステッキを収納した後、無言のままギルドルームを出て行ってしまった。


ノリが「ありゃ完全にキレてるねぇ」と言うと、亮介が「どうすりゃいいんだよ…」と呟く。


「煉瓦、今値上がりして1800万になってたよ? 炎の武器って、追加効果で発火するから、ソロダンジョン籠るウォリには人気なのよ。 何もしなくてもダメージ与えられるから、戦闘が短くて済むしねぇ」


「マジかよ… どうすりゃいいの?」


「その武器売れば? 売値が5000万だったから、1500にはなるんじゃない?」


「足りないじゃん…」


「あとはがんばれとしか言えないねぇ」


亮介の口からはため息しか出ず、がっかりとしたままギルドルームを後にしていた。




4人が話をしている同じころ、くるみは黙ってギルドルームを出た後、りつ子と知らないウォーリア男性の話し声が耳に飛び込んだ。


「そういやりつ子さんさ、この前、カイトがソロダンジョンで尻尾のないキマイラ見たって話聞いた?」


「え? 何それ?」


「ソロダンで2重ダンジョン開いて、尻尾のないキマイラが出たらしいんだけど、そのキマイラ、カイトの顔見てどっかに消えて行ったって」



『ヤツだ!!』


くるみは話を聞きながら確信し、すぐに賢者たちの元へ駆け出した。

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