3-9

特に何事もなければ、明日にはリフィリア王国に到着するだろう。2人は焚火を囲みながら、今回の依頼を振り返っていた。




「トルクさんの依頼、無事に成し遂げられて本当によかったよ。」


「ホントだねー。あのゴブリンの群れに遭遇したときはどうなるかと思ったけど。」




今回の依頼は、2人に多くの課題を浮き彫りにした。特に戦闘面での改善点が大きい。ジュンは、遠距離攻撃の重要性を痛感していた。自身もルイーザも接近戦が得意だが、それだけでは対応できない場面が増えるだろう。本格的に攻撃魔法を学べる機会があるなら、積極的に挑戦してみたいと心に決める。




一方で、チームワークに関しては充実感があった。




「チームワークは良かったよね。」


「ああ。まさかここまで息が合うとは思わなかった。」




同じ目標を共有しているからか、考えが一致する場面も多かった。これからも、このチームワークを大切にしたいと2人は思う。




その後、これからの予定について話し合う。リフィリア王国に到着した後の行動だ。




「リフィリア王国に着いたらどうする?ジュン、何か考えてる?」


「僕たちの目的は“はじまり異界”を探すことだけど、正直、まだ手がかりが少ないんだよね。何か情報を得るきっかけがあればいいんだけど。」


「“はじまり異界”なんて、探検家の憧れの地だもんね。手がかりが2つもあるだけでも奇跡に近いよ。」




ジュンの持つ「異界の笛」と、ルイーザの持つ「導きのコンパス」。これらが何を示すのか、どう使えば良いのか、未だに分からない。どれくらい集めれば“はじまり異界”への道が開けるのかも謎のままだ。




「まあ、旅はまだ始まったばかりだし、この世界をもっと知りながら情報を集めればいいよね。」


「うん。焦らずに冒険を楽しみながら、いろんな依頼を受けて探検隊としての知名度を上げていこう。そうすれば、自然と情報も集まるはず。」




探検隊として有名になれば、“はじまり異界”に関する情報も手に入りやすくなる。2人は、一歩ずつできることを積み重ねる大切さを実感していた。




「うん。私たちの探検隊、絶対に有名にしようね。」


「そのためにも、目の前のことを一つひとつ乗り越えていこう。」




ルイーザが笑顔で頷き、ジュンに手を差し出す。




「これからもよろしく、ジュン。」


「ああ、こちらこそ、ルイーザ。」




2人は固く握手を交わし、改めて目標を確認し合った。その絆は確かに、以前よりも深く、強くなっている。




その夜、ルイーザは焚火の傍らで手記を開き、今日の冒険を記す。




『初めての探検隊としての冒険。まだまだ課題は多いけれど、一つひとつ成し遂げていくことで、探検隊としての名を上げていきたいと思う。』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る