3−7
「くっ、何か突破口を見つけないと…」
「無駄だ!俺に弱点などない!」
ハイゴブリンの攻撃は凄まじく、ジュンとルイーザは一切の反撃の隙を与えられない。
その時、ルイーザがハッとした表情を浮かべた。
「ジュン、もしかしたら、アイツを倒す方法が分かったかもしれない!」
「本当か?」
「うん。でも…かなり危険だし、痛い方法よ」
ジュンはその言葉だけでルイーザの考えを察した。確かに無茶な策だが、この状況を打開するためにはやるしかない。
「分かった。やろう。それしか道はなさそうだ」
「私が隙を作るから、ジュンは頼んだわよ!」
「任せて!」
ルイーザは弓を構え、矢に水属性の魔法を込めてハイゴブリンに向けて放った。
「そんなもの、この俺には通じん!」
ハイゴブリンは炎を吐き、矢を次々と撃ち落としていく。しかし、ルイーザの矢はしつこく飛び続けた。
「馬鹿な!たかが弓で俺の炎と互角に戦えるとは…!」
「簡単な話よ。この弓には水属性魔法が付与されてるの!名付けて『ウォーターアロー』よ!」
ルイーザはさらに矢を放ちながら笑みを浮かべた。
「けどね、その攻撃であなたを倒すつもりなんて最初からないのよ」
「何…?」
気づけば、ジュンがハイゴブリンの至近距離に迫っていた。
「隙ありだ、ハイゴブリン!」
「貴様、いつの間に…!」
ジュンは一瞬の隙をつき、ハイゴブリンの口に素早く何かを投げ込んだ。
「何をした!毒か?だが残念だったな。俺には毒など効かん!」
「毒じゃないさ」
その瞬間、ハイゴブリンの体内で轟音とともに爆発が起きた。
「ぐあっ…!?こんな馬鹿な…!」
ジュンはとっさにシールドを展開して爆風から身を守る。このシールドは、かつて工場での戦いの際に発現させた技だが、特訓のおかげで自由に使いこなせるようになっていた。
ハイゴブリンはふらつきながらも倒れそうになり、ジュンはその隙を逃さず、大型剣を振りかざしてトドメを刺した。
「これで終わりだ!」
ハイゴブリンは崩れるように倒れ、その場は静寂に包まれた。
ジュンは剣を収め、ルイーザの方を振り返った。
「やったわね、ジュン!」
「うん、勝ったよ!」
2人は喜びのあまりハイタッチを交わす。
今回の勝利によって、2人のレベルが3から4へと上がったことを示す光が彼らのバッチに灯る。しかし、それ以上に彼らを満たしていたのは、命懸けの戦いを乗り越えた達成感だった。
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