3−6
次の日、ジュンたちはゴブリンに遭遇した場所に向かった。目的の敵は、そこにまだ居座っていた。
「うわ……いるよ……」
ジュンは思わず呟いた。できればいないでほしいと願っていたが、現実は甘くない。
しかし、これで確信した。このゴブリンたちは平原に根を張り、この地を通る旅人をこれからも襲い続けるだろうと。
案の定、ゴブリンたちは再びジュンたちを包囲する。前回と同じように数の力で圧倒しようとしてきた。
「トルクさんはワッフルから離れないでください」
ジュンはトルクに指示を出した。ワッフルに乗せたまま待機させ、万が一ジュンたちが倒れた場合、彼を安全な場所へ連れていくための作戦だ。
「相変わらず多いけど、ルイーザ、どこまでやれる?」
ジュンが横目で問いかける。
「分からないけど、とにかく数を減らす努力はするわ!」
ルイーザも気合を入れる。
「まあ、それしかないよな。できれば、あのボムの実を使わずに済めばいいんだけど」
ジュンは手にした武器を握り直し、ゴブリンたちに向かう。
2人は息を合わせながら、次々とゴブリンを倒していく。目指すは群れの中心に立つハイゴブリンだ。
「前と変わらない戦い方だな。そんなんで我々に勝てると思うのか?」
ハイゴブリンが嘲笑を浮かべながら挑発する。
「前回と一緒だと思わないでほしいね」
ジュンは言い返すと同時に、ボムの実を投げた。
ドンッ!
爆発音が響き渡り、ゴブリンたちが吹き飛ばされる。
「すごい威力……これなら一気に行ける!」
ジュンたちはゴブリンの壁を突破し、ハイゴブリンに接近する。ハイゴブリンも戦斧を構え、迎え撃つ準備を整えた。
ジュンの大型剣がハイゴブリンを襲うが、戦斧で防がれる。
「くっ……なかなかやるな……」
ジュンは歯を食いしばる。
「ようやく接近戦に持ち込めたね」
ルイーザが短剣を構え直し、隙をうかがう。数に押され続けていた状況からようやく一歩前進した。
しかし、ハイゴブリンがニヤリと笑う。
「接近戦になって得意げか?俺を普通のゴブリンと一緒にするなよ!」
突如、ハイゴブリンの口から炎が噴き出した。
ジュンはとっさに飛び退き、何とか回避する。
「うわっ、熱っ!おい、なんだよコイツ、炎を吐くとか反則だろ!」
「ジュン、大丈夫!?」
ルイーザが心配そうに声をかける。
「なんとか、致命傷は避けた……。けど、まさか炎攻撃が来るとは……」
予想外の攻撃に動揺を隠せないジュン。
ルイーザも険しい顔をする。
「ハイゴブリンが炎を吐くなんて聞いたことないんだけど……」
「俺にはドラゴンの血が流れているんだよ。普通のゴブリンとは違うってことさ!」
ハイゴブリンは得意げに笑う。
ジュンとルイーザは互いに目を合わせる。「ドラゴンの血」という言葉が現実味を帯び、目の前の相手がただのハイゴブリンではないことを確信する。
ハイゴブリンは続けざまに炎を吐き、2人を追い詰める。
その勢いは凄まじく、接近戦どころかまともに攻撃する隙すらない。
「ジュン、これ、どうすればいいの!?」
ルイーザが声を張り上げる。
「分かってるよ!でも、せっかく接近戦まで持ち込んだのに、このまま引くわけには……!」
ボムの実で作戦を成功させたというのに、再び追い詰められる2人。ジュンは焦りを感じつつも、次の一手を考えあぐねていた。
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