46話 三賀日もグダグダライフ 【前編】
目が覚めると日はもう半分程度昇っていた。家は静かでまだ繭は起きて無さそうだ。昨日着替えずに寝てしまっていたので、それを着替えてキッチンに行く。眠たい目を擦りながら珈琲をコップに注ぎ一気に飲むと、頭がハッと覚めた感覚がする。一気に目が覚める感覚を感じながらからになったコップを片付け、リビングの椅子に座って最近読めていなかった本の続きを読む。
数十分本を読み、少し腰が痛くなったので立ち上がる。伸びをして外を見れば昨日降った雪に反射した光が僕を照らす。未だに繭が起きてくる気配は無いが、そろそろお昼ご飯の時間だから起こしに行こうかなと思い寝室へ向かう。
カーテンのしまった寝室はいくら昼時と言っても薄暗く、その中で繭は毛布にくるまって幸せそうに寝ていた。肩を揺らして声をかける。
「そろそろ昼になるよ」
うーんという声なのか唸りなのかよく分からない音を発してゆっくりとその瞼を開ける繭。閉まっていたカーテンを開けると射し込む日光に顔を顰める。だけどその光で目も覚めたようで、
「おはよう、雷」
と一言言ってリビングへと向かっていった。
「おはよう」
と返し、繭の寝ていた布団を片付ける。それが終わってリビングへ戻ると椅子に腰かけた繭が珈琲を飲んでいた。湯気の出ている暖かそうなその珈琲は真っ黒でいかにも苦そうな見た目をしていた。僕を見て残った珈琲を全て飲んで繭は立ち上がる。コップを片付け、もう一度椅子に腰掛け、そして僕に問いかけた。
「お昼ご飯どうする?」
「年明けで料理する気もないし家にある物で済ませようと思ってたけど、なんか食べたいものあった?」
「特には無いかな。それより何食べよう。」
「インスタントのラーメンで良いんじゃない?たまには。」
「そうだね。僕作ってるから繭は着替えてきな」
「うん、ありがとう。」
そう言って繭はもう一度寝室へ向かう。それを見届けてからインスタント麺の袋が入った棚を開ける。繭の好みは僕と同じ醤油なので、それを2人分取り出し、閉める。鍋に水を入れて熱し、良い感じの温度になったら麺を入れる。麺が柔らかくなるのを待っている間に別の袋に入っているスープの素を丼に入れる。
良い感じの柔らかさになったので、茹でていた水ごと麺を半分づつ丼に入れる、来れで完成だ。リビングにそれを持っていき、箸を用意する。リビングには着替えを終わらせた繭が椅子に座っていた。
「できたよ。」
そう言って持っていたふたつの丼をテーブルに置く。
「いただきます。」
2人でそう言って食べ始める。具も何も入れていないただの麺だけどそれが美味しい。すぐに完食し、スープを1口飲む、ちょっとしょっぱいけどそれも美味しかった。少し飲んだあと片付けのためにキッチンへ向かう。
「片付けは私がやるよ。」
「いいの?」
「うん。ご飯作ってくれたし。」
「ありがと、よろしく。」
そんな会話を交し、片付けを繭に任せリビングに戻る。椅子に座って朝読んでいた本の続きを読もうとしたが、満腹まで食べた満足感と刺す光の温かさからか少し眠気がしてきた。数分ほど逆らったがすぐに意識は微睡み、僕は夢の世界へと誘われた。
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