37話 ホワイトクリスマス 【前編】

 どうやらこの世界にもクリスマスはあるらしい。それを知ったのは、クリスマスの前日の朝だった。繭とそのことについて話すと、みんなを集めてパーティーをしたいとの事で、できるだけ人を集めてクリスマスパーティーを開催することになった。

 と言う訳で僕は今、天ノ宮に買い物に来ている。そのついでに茶眩や緋莉、カフェ天使の皆さんを誘うのも僕の役目だ。

 そんなことを考えているとカフェ天使に着いた。ドアを開けると見知った顔が出迎える。


 「こんにちわ」

 「おお、雷君じゃないか、どうしたんだい?」

 「実は僕たちの家でクリスマスパーティーをすることになったんです。それで皆さんもどうかと思いまして。」

 「そうか、それなら有難くお邪魔しよう、七瀬ちゃん、君も行くかい?」


 そう天使さんが言うと厨房の奥からもう一人女の子がやってくる。その女の子は僕を見るとペコリと一度お辞儀をする


 「初めまして、七瀬ななせ しずくです。繭さんとは仲良くさせていただいてます」

 「初めまして、繭の幼馴染の秋雨うとき らいです。これからよろしくね。」

 「はい!よろしくお願いします」


 自己紹介をする、雫さんの初印象は元気な子、だ。


  「じゃあ明日のお昼ごろに家に来てください、待ってます」


 前の二人が頷くのを見てから店を後にする。ちなみに天使さんが僕たちの家の場所は知っているらしいのでそこのところは大丈夫だ。

 さて、用事も一つ終わったことだし本題の買い物に行こうかな。


 明日のクリスマスパーティーの為に、私は緋莉と茶眩のもとに来ていた。今は校長室にて二人を待っている所だ。

 数分待っているとガチャリと開く。


 「おねぇ、どうしたの?」

 「家でクリスマスパーティーするから、二人もどうかなって思って。

 「もちろん行く!ほら、茶眩今から行く準備するよ。」

 「えっ?うん」


 そう言って二人は準備のためかどこかへ行ってしまった。そばにいた校長先生が苦笑いしている。


 「騒がしくてすみませんね、二人とも雷さんと繭さんに会えるのがとっても嬉しいらしいので。」

 「大丈夫ですよ、逆に元気な二人に会えて私も嬉しいですし」


 そう言葉を交わし、無言になる。そんな時間が数分した後二人がやってくる。


 「それじゃあ行こうか」


 二人と手を繋ぎながらそう言い、天ノ宮教育学校を後にする。


 自宅につき、私は緋莉と一緒にクリスマスケーキを作る。今回は本格的にスポンジから作る予定だ。ちなみに作るのはホールのショートケーキだ。

 まず、型にシートを敷く。バター予め溶かしておき、薄力粉はふるっておく。次に卵黄と卵白を分け、卵白は大きいボウルに分け砂糖を加え、混ぜてしっかりとメレンゲ状にする。そして卵黄を加えて混ぜ、薄力粉を加え、粉がなくなるまで混ぜる。それが終わったら、溶かしておいたバターを加え、むらの無いように混ぜる。それを用意していた方に入れ、オーブンで170℃で約30分焼く。ちなみにこのオーブンはこのケーキを作る為に買ったものだ。

 ケーキが焼きあがるのを待っている間にイチゴのソースとホイップクリームを作っておく。簡単なホイップクリーム作りを緋莉に任せ、私はイチゴのソースを作る。フルーツの缶詰のシロップとイチゴのリキュールを混ぜる。

 それが終わり数分休憩しているとケーキが焼きあがった。それをオーブンから出し、半分にスライスする。切った断面にさっき作ったイチゴのソースを塗り、4分の一に切ったイチゴを乗せる。その上に、切ったもう一方を乗せ、全体を塗り、その上からもう一度綺麗に塗る。あとは、イチゴやホイップクリームの残りをデコレーションし、完成だ。出来上がったそれを冷蔵庫に入れ一休みする。思ったよりケーキを作るのは大変だった。

 ふと窓を見ると雪が降っている、どうやら今年のクリスマスは綺麗なホワイトクリスマスになりそうだ。そんな事を思いながら緋莉を見ると椅子に座りすやすやと眠っていた、それを見た私にも、どっと眠気が押し寄せる。緋莉の横に座り、その肩に体を預け押し寄せる眠気に身を任せた。きっと今日は良い夢が見れそうだ。

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