お嬢様は　休む暇さえない程に

しなやかな腕が　ひっきりなし舞うのです

川の流れのように　行き交う方々をお迎えになって

以前にも増して　立派な方々をお招きして

奥様は　夢をみておいでなのです

お嬢様に相応し　最高のお相手の

誰もが　お嬢様のお手に触れようと

その可愛いらし口から　言葉を頂こうと

我こそはと　押し寄せてくるのです

されど　お嬢様のお心には　一房の勿忘草

どうして　そのお心を動かせましょうや

遠い昔の面影を追って

はてさて　とあるお国の若き外交官様

お嬢様のお心に　隙間をお開けになられたのは

黒髪の美しい　知性的なお方です

しかし　奥様はお気に召さずに

以前にもあからさまに

お婿様選びに専念なされました

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