04-grope(2)
「大活躍だったんだ?」
「……不可抗力だ」
「ほんと、是非毎回一緒に来てほしいよ。怪しいとかすぐ気づくし、絶対逃がさないし」
「毎回とか、ほんと勘弁してほしい」
「疲れきってるねぇ」
「
その言葉に、確かにと返した
戸端、いや、
「それより
約束とは無論、戸端を眠らせないようにすること、だ。生蛇として目覚めてしまった時に、伶唯が一人でそこで起こり得る事に対応出来るとは思えない。これに関しては、伶唯も反論はないようだ。
「そっちだって、こっちに黙って
「空いてるって言うし、まだ一人よりかは二人かな、と思ってね」
栖田に最初から信用されていなかったと知って、反論しようかと動きかけたが止めたようだ。実際、約束は守られなかったのだから伶唯に勝ち目はないのだ。
「裏切る時は、裏切るって分かりやすくやるから安心しろ」
栖田が作ったオムライスを真顔で食べながら生蛇がそんなことを言い出す。全く安心できないその発言に、みんなの表情が固まる。
そんなに悪いこと言ったか、そんなことを思いながら紅茶を飲み干す。生蛇も例に漏れず相当なマイペースさを発揮している。
「私は裏切らないでほしいと思ってるんだけど」
「だろうな。それに、本当は赦せなくて苛々してんじゃないか?」
なんてこともないようなその言葉に、栖田が顔色を変える。事実、栖田の腹の中はぐちゃぐちゃだった。生蛇が戸端以外をどうでもいいと思っているのと同じように、栖田は戸端のことをどうでもいいと思っているのだ。それでも栖田は、そうしないと彼を止められないと分かっているから取引を継続している。まったく、成果の見えないこの取引を。
「生蛇くん、キミは」
「俺はいつでもここにいる全員、殺せる」
その言葉に一番反応したのは伶唯と河東だった。何故なら、今日の彼の動きを見ているからだ。彼はナイフで人を殺していたが、今日犯人に向けて正確に銃を撃っていた。銃を持つ手に正確に
「……そう、なんだろうね」
「そうしない理由を思い出せって。すぐに思いつくようなことは大体試してる。簡単に解決すると思うなよ」
そうしない理由、つまり殺人以外の発散方法を見つける為に待つという取引。
「え、人と関わればいいんじゃないの?」
「とりあえず暫く保つというだけで、解決はしない」
そのシンプルな答えに、皆ほぼ同時に顔を伏せる。最初からそういう話であったことを思い出した。それを愚かだと反省し、策を考えなくてはと改心した。
「それならさ、教えてよ。
そんなことを言い出した
『あいつら呑気で面白いな』
「ていうか、俺演技上手すぎじゃない?」
『そこは評価してるよ、さすがに』
「何が評価出来ないって?」
『身のこなし』
「及第点だろ」
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