第13話 私の唯一の友達と建築設計の授業

(今までのあらすじ)

「 私は鈴木桃子19歳。建築学部の建築工学科に通う大学1年生。父が小さい頃に病気で亡くなり、タイムマシンを作って過去へタイムスリップして、父を生き返らせることができないか考えている。」


 「第13話 私の唯一の友達と建築設計の授業」

  「タイムマシンで過去に戻ることなんてできる訳ないよなー。」と自分でも思っている。少しくらい可能性はあるんじゃないかと考えている。今の科学の技術では無理でも、将来的にはできるんじゃないか、私がもっとタイムマシンのことを勉強すれば、どうにかなるんじゃないかとか妄想しているのだ。とりあえず、せっかく入学した大学を途中でやめるのは親に学費を払ってもらっているので親に申し訳ないし、建築工学科の授業も始まったばかりで、これからたぶんもっと面白くなってくると思うので、とりあえず、4年間はしっかり単位をとって卒業しようと思った。そして、大学にいる時は独学でタイムマシンの勉強もしていくことにした。とりあえず、よく知らないけど相対性理論(そうたいせいりろん)とかその辺りから勉強すれば良いのかなと今のところ考えている。

 今日は、実技で建築設計の授業を受けている。友達は全然いないと言っていたが、勇気をふりしぼって、大学に入って1番最初に声をかけた同じ学年の女の子とはわりと仲良くしている。やはり、自分から積極的に声をかけた方が、友達はできやすいようだ。学生の人で友達が全然できないと悩んでいる人は、最初はひとことだけでも良いので自分から話しかけると次からは相手から話かけてくれるようになり友達になれるかもしれないよとアドバイスしたい。友達が全然いない私が言うなって言われそうだけど・・。


 私の友達は自分の中では、友達というよりは一緒に勉強する仲間って感じである。

 「建築設計って難しいよね。」私はその子に話しかけた。その子の名前は、中野夏菜(なつの かな)19歳。

 「設計条件って何なのか。よく分からないよね。もっとわかりやすく教えて欲しいよね。」と夏菜(かな)がぼやいた。

 「そうだよねー。専門用語多過ぎて、頭パニックだよ。高校の時と習っている内容違い過ぎてついていけないよ。」

 「うん。同じような内容の高校の復習みたいな感じの授業もあるけど、えらい専門的な授業もあってなかなか難しいよね。」

 「このなんぼく5かん?(南北5間)×とうざい6かん(東西6間)、30坪の短形平地。ってどういうことなの?」

 「それはね。5かんじゃなくて、けんって読むらしいよ。」夏菜がやさしく答えた。

 「へぇーそうなんだ。そんなことも知らないとか私、勉強不足だよね。」

 「そんなことないよ。ももちゃん。勉強熱心でよく図書館で勉強してるじゃん」

 夏菜はわりと私への評価は高そうだ。でも、私が図書館で読んでいる本はタイムマシン関連の本とか、自己啓発の本とか、小説とかが多くて、あんまりこの大学の勉強と関係ないことばっかりなのであった。

 「1間(いっけん)は、1.818mだよ。」夏菜の説明は続いた。

 「また基本的なこと聞くけど、けんとつぼって何が違うの?」

 「けんは長さで、つぼは面積だよ。1間×1間=1坪になるんだよ。」

 「ああ、なるほど。そういうことか。だから5間×6間で30坪なんだ。」

 「そうそう。そういうこと。」

 いつも、ぼっちで授業とか受けたりしているから、たまには友達と話しながら授業をうけるのも楽しいと思うのだった。

(続く)

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