第17話 クリスタルの運命

御者さんに申し訳ない気持ちになりながら朝ご飯を食べた。

クリス様は気にしていないようで朝から超笑顔であった。


「今朝はパンにしてみましたが大丈夫でしたか?」


「え? ものすごくおいしいですよ? フカフカのバターロールもサクサクのクロワッサンも最高です。いつも黒くて固いパンしか無いのでこんなおいしいパン食べたの初めてです。」


俺も宿で食べたことあるけど、あの黒いパンは口の中の水分を全部持っていくしおいしくないよね。

スープに浸して食べるって知るまで大変だったよ。


「クリス様、それで提案なんですが王都に着くまで剣の修行をしませんか? 自分の身を守れるくらいにはなっておいたほうが良いのではと思いまして。」


「本当ですか? それはお願いします。城では王女には必要ないと言って何もさせてもらえないのですよ。それに師匠になるのですからクリスと呼んでください。お二人もお友達なのでクリスと呼んでくださいまし。」


「それではクリス様、今日からやりましょう。」


「ん!? クリスです!」


「え? クリス、よろしくね。」


「はい、よろしくお願いします。」


先日ボーガンの試し打ちに使った射的練習場を改良し、物理防御、魔法防御を強化した格闘場に作りなおした。

木刀を用意し、その日からクリスの修行が始まった。

静香もついでに修行に付き合っている。

メイには馬車で留守番してもらっている。

馬車に何かあったら大変だからね。

数日するとクリスは剣術スキルを獲得した。

剣術を持っているのでそれなりには動けるようになった。

ただし、体力、筋力が低すぎてすぐに疲れてしまうのだ。

レベルが低いし仕方がないだろう。

やっぱり魔物を倒さないとダメだな。


『ティア、お願い。魔物を狩りに行くわけにはいかないから召喚できないかな?』


『魔物召喚ってスキルがあるので取得しますね。ただし、結構MP使いますので使いすぎには注意してくださいね。』


「クリス、まずはレベルを上げよう。安全なスライムから倒してみてくれ。」


魔物召喚でスライムを召喚して剣でコアをツンツンし倒させた。

スライムじゃやはり経験値が低すぎる。

オークを召喚し、殴って瀕死状態にしてからクリスにトドメを刺させた。

さすがに気分が悪くなって吐きそうになっていたが、すぐに精神耐性が着いて楽になったようだ。

レベルが上がり体力も着いたがMPも増えたので魔法の修行も行うことにした。

魔法の師匠は賢者の静香にお願いした。

レベル20を超えるとオークであれば剣でも魔法でも一人で狩れるようになった。

ここまでくれば大丈夫だろう。

10日が過ぎ、あと数日で王都に到着する予定だ。

すっかり俺たちとの生活に慣れてしまったクリスは王族の世界に戻れるのだろうか?

道中これと言った襲撃もなく平和な旅だった。

このまま王都に到着するだろう。

と、フラグを立ててしまったか?

盗賊団が道を塞ぎ待ち伏せをしていた。

100を越えそうな人数だった。

明らかにクリスの命を狙っているのだろう。


「そこを開けてほしいのだが? 先を急いでいるんでね。」


「はぁ? 通すわけないだろう。命が惜しいのならクリスタル王女を出せ!」


確定である。クリスの暗殺が目的だ。

となれば情けは不要だな。


「俺が護衛なのを調べなかった無能を悔いるんだな。では、さらばだ。」


剣を一振りし、エアスラッシュの斬撃を飛ばした。

三分の一の盗賊の首が無くなった。

もうひと振りし、逆側の半分以上の首が無くなった。

そして、親分を含む10人程度の残り立ち尽くしていた。

バインドで拘束した。


「それで、誰の命令で襲撃したんだ?」


「言えるわけないだろう!」


「ほう。あんまり拷問は好きではないのだが、暑いのと冷たいのどっちがいい?」


右手に炎を出し、左手に氷を出した。

するとあっさり子分が暴露した。


「大臣です! 俺たちは金で雇われただけだ。頼む殺さないでくれ!」


反国王派ってやつかね。

クリスの命を狙っているやつらを根絶やしにするためにもこいつらは必要だろうから王都の役人に渡した方がいいだろう。

鉄格子付きの荷車を作って押し込み、馬車の後ろに連結した。

もちろん浮かせているので馬の負担にはならない。

王都に着いてからの手続きはクリスに任せればいいだろう。

クリスが父、母、兄弟が心配だというので急いで王都に向かうことにした。

旅の間一緒に暮らして情が移っているクリスを守ってあげたい。

いままでスキル付与はバレると面倒なのでクリスには行わなかった。

アクセサリに付与し、アーティファクトだと言って渡すことにした。

ダイヤの着いたシンプルな指輪を作成し、スキルを付与する。


クリスの指輪の付与スキル

 鑑定、状態異常無効、危険予知、念話、カウンターシールド


「クリス、この指輪は君を守る指輪だ。肌身離さず装備しておくように。」


早速指輪を装備したクリスは驚いた。

鑑定ができるようになったので指輪に付与されているスキルがわかったようだ。

国の全財産を積んでも買うことはできない代物だろう。

状態異常が効かないので毒殺は防げる。

物理攻撃はシールドで弾く。

危険予知があれば回避も可能だろう。

そして、念話で俺を呼ぶこともできる。


その夜、風呂に入っているとクリスが入ってきた。

指輪のお礼に背中を流してくれるそうだ。

俺は風呂にはゆっくり浸かりたい主義なのだが。

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