私達は小説を書けばまるでメシアのように語ることができます。
作者の正しさを証明するようにせっせとキャラクターは動きます。ひょっとすると読者も信徒のようになってしまうかも。
この物語は徹底して不自由しています。何も思い通りではありません。奈落の上に架かるおんぼろの橋を幼い家族みんなで渡っていきます。必ず何かをあきらめなければなりません。でも誰もあきらめません。踏み外せば落ちる最中でいきいき自分を持ってケンカまでして、愛らしく生きます。
さて誰が落ちるのでしょうか?誰が生き延びて物語を締めくくるのでしょうか?
これから読む人はぜひこの物語の偉大な理性的生命力とだからこそ胃に残る苦渋を舐め切ってみてください。