第13話 身に覚え無し (優衣視点)
その後も授業は滞りなく進み二時間目まで終わった。私は進んで発表していたが、連は先生に当てられないと発表していなかった。そこは今でも変わっていない。
三時間目と四時間目は図工の時間だった。内容は校庭に出て絵を描くというものだった。絵の具で書くので、図工室から自分の出席番号が書かれた筆を一人一本持って外に出た。私は出席番号が六番だったので、六番を手に取った。
その時、私が何を描いたのか覚えている。私は、校庭の木を書いた。特に目立つ要素もないものだったけど、その時の私はそれを選んだのだ。
ふと後ろを見ると、連も私と同じ方向を見ていた。
何を描いてるのか過去の私も気になったのだろう。
「れんー!何描いてるの!」
と質問した。
「べつに。」
ぶっきらぼうに答えた連と、少し機嫌の悪そうな過去の私を見て、少し笑ってしまった。
その後は何事もなく給食を食べ、午後の授業も終え残すは帰りの会だけとなった。
そこで私が先生に呼ばれたのは今でも昨日のように思い出すことが出来る。自分で言うのはなんだが、これ以前も以降も先生に呼び出しされたことは無いのだ。
「優衣さんだけ少し私に付いてきてください。それじゃあ気をつけて帰ってください。さようなら!」
「さようなら。」
「それじゃあいきましょうか。優衣さん。」
私は今から起こる出来事を知っているが、過去の私はとても緊張していた。
私は図工準備室に連れていかれた。
そこで、先生はこう言った。
「あなた、図工室の筆壊したわよね?」
それは私にとって全く身の覚えのないことだった。
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