第9話
ヤバいヤバいヤバい。リリスが俺のそばからいなくなってしまった。これは本当にヤバい。俺は、まだ良かった方だが、俺以上の童貞にとってみたら癖になるくらいあれは気持ちいいのだ。俺もそうだったけど。俺としちゃ、いいおかずって思っているが別に失ったからって寂しいとか残念はがってはいない。でも、リリスが他の人の精液をもらいに行くということは危ないことだ。
そういえば、さっきから誰かに見られているような気がする。こんなときに誰だよ、全く。俺は、辺りを見渡してみる。あれ、一番遠くの柱に背の高い女が見える。胸はそこそこだ。それに目があった。相手は反射的に反らす。女は意を決したのか俺の方に近づいてくる。俺は、どこか怖くなって身構えた。
「あの、あなたには見えるんですか??」
いきなり、そんなことを言われて俺はキョトンとしてしまった。
「さっき、出ていったのってサキュバスですよね??」
女の目が凄んでいる。
「ああ、はい」
俺はその凄みに尻込んでしまった。
というかこいつ、リリスが見えるのか??それって霊感があるってことだよな。なら、もしかして会話も全部聞いたのか。恐ろしい。
「私、2年B組の大神ルナと申します」
年下だった。パット見、同い年かと思った。
「盗み聞きするつもりはなかったんです。すみません。でも、」
大神さんは、頬を赤くし照れながらいい始める。まるで処女みたいに。
「サキュバスを含む魔物は我慢なんて効きませんよ」
最終的には顔を真っ赤にして俺に言ってくる。大神さんは湯を沸かせられそうなくらい真っ赤だ。
「た、たしかに学校でえーとそのーせ、精液を接種するのは難しいと思いますが、お互いにとって損なんてないと思います」
顔を真っ赤にして言うのは説得力ないけど。処女っぽい女の子が精液というなんて。今どきの女の子はすごいなと思う。いや、そんなことより学校でしこれと言っているのか。大神さんは。学校でしこるのが恥ずかしいことかわかっているのか。俺みたいな陰キャがしこったらバカにされるかもしれない。その危険を大神さんはわかっているのか。
「あの、こんなこと言うのなんなんですけど、二階の北校舎の男子トイレはそういう一人や二人用のスポットなんですよ」
は?こいつ何言ってんだ。学校にセックス専用の場所があるだって?
たしかに北校舎は滅多に人が通らない。北校舎二階は理科実験室や美術室や図書室がある。俺の勝手な思い込みだが性欲ヤバそうな人達が好きそうな教科ばかりだ。その間にあるトイレだから我慢できない人がいてもおかしくないかもだが。しかも、なんでそんなこと知っているんだ??
「一応、女子もヤってますけど、男子のほうがすごいですよ。音がすごく聞こえるので」
どんどん声が小さくなっていく。しかし大神さん、やたら、詳しいな。もしや、ヤってるな。俺は、そんな目で大神さんを見る。
「ち、違いますよ。私は、そんなこと……」
あ、やっぱこいつヤってんな。なんだろう、高ぶってきた。
「なんなら、一緒に行きますか?」
大神さんは、恥ずかしがりながら言った。さすが、経験者。しかし、リリスを探しに行くのはいいのだが、大神さんと一緒に行くのはちょっと。
「あ、ごめんなさい。迷惑ですよね。気にしないでください」
いや、この子のことがなんか気になる。いろんな意味で。
「わかった。なら、お願い」
俺は、パンを食べきり立ち上がった。
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俺とサキュバス 宇田川ルキ @RUKI3939
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