卵
あれ?
ヒトデって卵産むっけ?
つーかこの卵デカくない?
俺の背の高さのおよそ半分ぐらいあるな。
と言う事は20センチル程。
純白の卵は艶やかな光を放ちその高貴な出で立ちは真珠を思い起こさせる。
「輝いてるな~」
って言うか、一体俺の何処から産まれたんだ?
エロイ想像して産まれてきた此奴。
普通に考えたら俺の迸る熱いパトスを生ピーーーーーーー(自己規制中)したりすればお子様は生まれるて来る。
だが何度も言うように俺はヒトデ。
人間男性の様に突起物が付いて居たり、人間女性の様に双丘があったり神秘があったりはしない。
むしろ物理的にどうやって自分の身体の半分ほどある卵が自分の身体から産まれるのか分らない。
産んだ実感すら無い。
「はっ!」
※まさかコレが育児放棄への序章。
望まれず産まれてきた娘―――――
ニル子は母及び父(両方俺)の愛を受けられず、世間からは疎まれ、徐々に世を恨むようになる。
15になったニル子はレディースを結成。
そして
最早敵無しとなったニル子、「飽きちまった」その一言で
解散集会として走った地中海無双暴走は今も語り草だ。
一人海の底から太陽を眺めたニル子はふと寂しくなった。
そうだ、子供作ろう。
そう思い立ったニル子は自分の様な子を造らないため愛情をかけて育てよう。
心に誓い子を産んだのだった。
そして目の前には20センチル程の卵が生まれた。
「あれ?アタイどうやってこの卵産んだんだろう?」
そんな疑問が頭を過ぎった時ある考えが頭を過ぎった。
(………そもそもアタイの子じゃないかもしれない)
※に戻る。
って話し進まないじゃ無い。
きらーーーん
太陽光を反射し白く輝く卵。
突風が吹き、ころころと転がる卵。
そんな卵を見つめていると何故か心の奥の柔らかい所をぎゅっと締付けてくる。
えもいわれぬ衝動に突き動かされ、ぎゅっと卵を抱きしめる俺。
色々疑問はあるんだけど、今だけは純白の卵が俺の母性が俺を突き動かす。
抱きしめたい。
溢れるほどに。
卵への想いが、こみ上げてくる。
そう人肌恋しいのだよ俺は。
恋しさを卵で埋める。
コレが恋じゃないって頭では分ってるの。
愛が無いって事も知ってる。
でももう止められない。
止まらないの。
プロ童貞の俺は、人肌感味わったこと無いんですけどね。
ただ俺は気付いてしまった。
友達が欲しいと思って卵産んだけど卵産むだけじゃ友達は出来ないって事に。
「卵抱きしめて一体何してるの?ニル」
声の方に振り返ればアラク坊やが立っていた。
そういやコイツいたな。
「友達からでお願いします」
さっと片腕を差し出し俺はアラク坊やの決断を待つ。
「プッククク………どうしちゃったのさニル。元々僕等は友達だろ?」
友達だろ?
友だちだろ?
ともだちだろぅ?
TOMOCHIDROU?
俺はアラク坊やのその言葉に思わず膝から崩れ落ちた。
「おお、こころの友よぉ~」
「ジャイ○ンかよ」
「そんな鋭い突っ込みをくれるアラク坊やが俺は好きだ」
ちなみにヒトデに膝は無い。
「ところでこの卵なに?」
「産んでみた」
「えっ産んだの?ニルが??」
まぁそうなるよな。
アラクは心底驚いた顔で「えっ?えっ?」と言いながら卵と俺を交互に見比べている。
「一応種族スキルで『単独繁殖』ってのが合ったから使ってみたんだ」
「へぇ~でもよく使う気になったね」
「ヒトデ鬱になってたんだ」
「何だよヒトデ鬱って、ホント意味分らないよねニルって」
「失敬な」
俺が腹に据えかねている様子を面白そうに眺めてるアラク。
「ニル結構強くなってるね。LVもだいぶ上がったんじゃ無いの?」
「うむ。殆どが邪眼スキルのお陰だがな………あ」
「ん?何かあった?」
俺は思い出してしまった。
アラクに騙されたことを。
何が「簡単だ」だ、めっちゃ追いかけ回されたし恐竜の食料になりかけたわ!
思い出すと怒りがこみ上げてくる。
ぷるぷるぷるぷる。
「ちぇすと~っ!」
北東神拳奥義地獄突き!!
コレはユ○アを失った俺の怒りだぁ~~~~!!!!
「ちょっ、ちょっとどうしたのさニル」
「ちぇーーーーすとっ!!」
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