LVアップをしたがきっと誰も興味ない
LVアップファンファーレを飽きるぐらい聞いた頃、俺は無の境地に居た。
名前
種族 高位悪魔 LV112
HP 9999/9999
MP 9999/9999
スキル 合体(LR)究極進化(LR)覚醒(LR)邪眼(UR)高速浮遊移動(SR)鬼ヒトデLV5(UC)ヒトデ肌LV3(UC)ヒトデ支配(UC)毒液精製LV5(C)無機物合体(SR)鑑定LV5(C)言語理解LV3(C)料理LV5(C)
称号 転生者 ヒトデの王
SP1269ポイント
「ずっとデンドロビームってフルアーマー形態の武器の名前だと思ってたんだ、俺。だから邪眼スキル使った時ああ、俺も機動戦士になる日が来たんだ。そう思ったんだ。だけど蓋を開けてみたらアレだ。花だったんだ。そもそも元ネタが花の名前だったんだなんて小学生の頃の俺には理解出来ないよ。最もヒトデとなってスキルとして使用して初めて嗚呼、花の名前だったんだな、なんて思ったわけで。邪眼スキルが無駄に無双しすぎてて最早主人公はヒトデでは無くて邪眼なんじゃないかとすら考え出しているって巷ではもっぱらの噂で。LV上がろうがどうなろうがヒトデがどうにかなるわけじゃ無いし一日一回邪眼スキルで狩りしていればかなりの高確率でLV上げも出来る。邪眼によるパワーレベリングって。ぼちぼちタイトルも『転生したと思ったら悪魔合成の素材だった俺が邪眼スキルに乗っ取られて世界も乗っ取る話。』とかになっちゃうよな」
勝手に不満が口を突いて出た。
何だコレ。
邪眼スキルにおんぶに抱っこ。
最早ヒトデとしてのアイデンティティーすら無い。
「安西先生、俺……………俺、ヒトデがしたいです!!!」
涙ながらに訴えてみる。
誰に届くかも分らない独白。
ヒトデに馴染みすぎてきて最早人だったのかすら怪しくなってきた俺。
レゾンデートルすら分らない。
ヒトデ鬱になりました。
そう言えばノワールと出逢ったのもこんな風に地面に寝そべっていたときだったな。
あの時は亜音速で世界を渡ってきたばっかりでチートすら無いこの素材の俺がどう生き抜くか不安を感じていた。
世界にひとりぼっちにされた気がして右も左も分らないヒトデだったんだ。
むしろヒトデである事すら気付いてなかった。
でも俺今気付いたよノワール。
ヒトデある事がすでに積んでいるんだよ。
俺青春とか学園物とかああいうのに憧れていたんだ。
キャッキャウフフしたり指と指の先がふれあっておっかなびっくりで手を引っ込めたり、ああ、ヒトデには指無いんですけどね。
そう言う事したかったんだ。
ドッジボール部で不良と激突して見たりアイスホッケー部で殺人級の必殺技出してみたりサッカーだって言ってるのに普通に殴ってみたり、熱い青春を過ごしてみたかったんだ。
でもでも俺、俺――――――――ヒトデなんです。
ヒトデには恋も青春も無いんです。
何故ならヒトデ――――――――性別無いんです!
ヒトデです。
ヒトデです。
ヒトデDEATH……………。
ヒトデ…………死す。
「死なーーーーーーーーん」
スキルポイントが一杯溜ったからスキルを覚えるんだ。
実用的なスキルを。
折角の異世界ファンタジー、ワンダーでファンキーなスキルを覚えて魔法使ってみたり空飛んで見たりするんだ。
うん?空は飛んでたな。
全身金色に発光しながら空飛んだりしたらカービィーごっことか出来るじゃん!
夢は広がる。
無限大。
やっぱり欲って大事。
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