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こうして
香の香りによってそれは単なるおぼろげな暗示ではなく現実と区別がつかない暗示となり、もちろんのことながら現在の
さらに
「して、その
事の成り行きを聞いた
「見たところあれはトモカヅキだったものだ」
「海のアヤカシだな。しかし、トモカヅキならばその者は生きておらぬだろう。連中は人を誘い命と共にその者を喰ってしまう」
「だからトモカヅキ『だったもの』と言っている。本来トモカヅキとは海に潜っている
「魂が何処かにあると言うのだな?」
「おそらくはそうだろうと検討を付けているのだがその場所が皆目わからん」
相手をしてほしいとねだっている犬のような輝いた瞳で見つめてくる廉然漣に鬱陶しいと眉間に皺を寄せて尊は言う。
「なんだ、話したいなら勝手にすればいいだろ」
「ふふん、そんな口を利いていていいのかしら。その知哉君の魂の場所を私は知っているんだけど」
廉然漣の意外な言葉に尊は瞳を丸くする。
倫子に連絡を受け、本人を目の当たりにしてから尊自身自然や動植物に聞き、神降しまでして探していたが見つからず、どうした物かと思っていたところに最も身近な存在がその場所を知っていると言ったのだから驚いて当然だった。
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