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「一体どういうつもりですか?」
「どういうつもりって日本語が理解できないの? すごく簡単な言葉よ、『部下になれ』それだけ。貴方をそのお金で雇用してやろうって言ってんのよ。それとも何? 金額が不満なの、でもこれが妥当な価格だと思うけど」
「日本語は分かりますし、お金に不満があるとかそういうことではなく、今まで面識もなく、さっき町であったばかりの人の部下になれって言う事柄自体の意味が分からないんですよ」
「アスラ、お前の言う一般人が説明されたからって内容を理解できるとはあたしには思えないわ。それに雇用契約を詳しく見ている人間なんていないでしょ。要は自分がいくらもらえるかだし」
「お嬢の言う通りだとしても、何の説明もなくただ金銭を渡すだけでは人という生き物は納得できず不信感をいだくもの。理解するしないなど関係なく説明しなければなりませぬ。それに理解を求めるならば分かるように説明するか理解できる嘘の内容を述べることを勧めますぞ」
「アスラは本当に融通が利かないわね、まぁいいわ。理解できなくてもいいなら説明してあげる」
行き成り意味の分からない金を差し出されたかと思えば説明が無く、説明を求めれば理解できないことを前提に話が始まる。
どうして自分はこんな場所にこうしてすわっているのか、苛立ちの中で話を耳に入れながら
「……っていうこと。つまりはあたしたちにとって結構都合のいい、使い勝手のいいのがアンタってわけね。それにアンタもこのままにしておけばそのうち大変なことになるのよ。その面も解消された上にお金ももらえるなんて結構お得だと思うんだけど。どう? 一般人にも分かる様にかなり噛み砕いて言ってあげたんだけど理解できたかしら」
理解は出来ていないだろうけどこれでいいでしょといわんばかりに高飛車で、さっさと金を受け取りサインをしなさいと目の前で足首を動かしてつま先を上下させる
傲慢な態度にさすがに
両手を肩のあたりで大きく叩いて
「お嬢をそのようにしつけた覚えはござらんが、これはしつけと言うよりも個人の性格でござろうな」
「何よアスラ、文句があるっていうの」
ふらふらと立ち上がった
だが、アスラはそんな視線を気にすることなく、立ち上がって少々ふらついている
「お嬢の言葉を気にする必要はござらん。あくまでもどうするのかを決めるのは客人自身、強制ではござらぬ。少々言葉が悪いですがお嬢の言っている内容は間違いにあらず、その証拠に客人自身も自らの不調を感じておろう。其れこそが先ほどお嬢が説明した事例であり、世間一般では霊障と呼ばれるものの一つ。百目鬼家はそれらを囲い飼いならし消滅させる力を持つ者の集団なのだ。客人の不調も我等ならどうにでも出来、以前と同じ体調に戻すことが出来よう」
アスラの言葉に少し考え込んだ
確かに体は不調だが
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