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作る食事は
今ある食料は先日買い出しに出かけたばかりなので約二週間分だそう。
次の買い出しには店の場所なども教える目的で
気が重くなりながらも先ほど貰った仕事着を持って自室へ行き着替える。
四着ほど渡された作業着はどれもほんのりと寺院の中に居るかのような香りがした。
その香りの効果だろうか、ぼんやりとしていた頭はしっかりと意識を保ちながら気持ちを落ち着かせてくれる。
作業着に着替えた
朝食の後片付け、食器を洗い時計を見れば
「少しここの片付けもやっておきたいところだな」
辺りを見回しながら
「本当に、どうやれば女一人暮らしでここまで汚すことが出来るんだ。僕の部屋よりひどいぞ、これ」
この家は
何が入っているかのメモ書きすら無い、積み上げられた段ボール箱と何時から捨ててないのかわからないゴミ袋の山を眺めた
「一体何時からこの状況なんだ。あの人、よくこんなところで生活していられるな」
文句を言いながらも、台所の現在の状況や食器棚の中身などとにかく周りを確認した後、体は自然と片付け体勢へと移行した。
「今時の男の子は家事くらいできないとね」
母親である
ただその万能機能も、家にいる時はたまの母親の手伝い程度にしか役に立っていなかった。
「一体これが何の役に立つんだ」なんて思っていた
「それにしても、流石にこの状況はないよな、女って一人だとこういうものなのか?」
非常に手際よく手を動かしていると、ゴミの中から書類の山が現れた。
「うわ、これ大事なものじゃないのか?」
呆れながら書類を一枚一枚整えていると、
「……年上なのか」
書類を見る限り
言葉使いは横柄であり、言い回しは年寄りくさいが、見た目は童顔なせいか自分よりも幼く見え、てっきり年下だとばかり思っていた。
しかし、時折見せる大人びた表情はとても色気のある美人で
「散々な現状だけど、食事は普通にうまかったんだよな」
考え事をしながらでも動いている手足が、徐々に本来の床を探し当てその範囲を広げていく。
「多分、出来ないわけじゃないんだ。やる必要のないことはやらないってことかもしれない。それはそれで面倒な人だな」
出来ない訳では無いがやる必要がなければやらない、自分の父親のようであり、それがいかに面倒な性格なのかを知っている
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