第57話 よろしくお願いします

「あ〜そういう事ね……

なんか姉さんとか先生に2年からは形だけでもちゃんとしろって言われてね。最悪留年にするって脅されたから仕方なくって感じかな」


『形だけでも』そんな言葉に私は引っ掛かりを覚えます。


「あの、形だけというのはどういう──


「えっと、宝田心夏さんってあなたですよね?」


しかし、葉幸くんに質問しようとしたその時、前の席に座っていたロータスさんが気づけば私の前に立って話しかけてきていました。


「は、はい。そうですけど、どうしたんですか?」


「先生に、『隣の席の宝田心夏という生徒に分からないことがあったら聞け』と言われて……

その……お世話になるかもしれないので、よろしくお願いします!」


ロータスさんは、笑顔ですっと手を伸ばして握手を求めてきます。


「はい、こちらこそよろしくお願いしますね」


優しく手を握って握手をするとロータスさんはパァーっと明るい笑顔になって、もう一度「よろしくお願いします!」と言ってから今度は葉幸くんの方に向き直ります。


「あなたも、隣人としてよろしくお願いします!

えっとお名前聞いてもいいですか?」


さっきまでこちらを見ていた葉幸くんは、今度は自分に話しかけられて驚いたのか少しオドオドしながら答えます。


「浜辺葉幸です。よろしくお願いします」


「えっと…葉幸ですね!よろしくお願いします!」


ロータスさんは葉幸くんの手をとって、先程と同様にキラキラとした笑顔で握手をするのでした。

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