第32話 友達に

「は?それがどうしたんだよ」


星馬くんは訳が分からないという顔をしています。


「中を見てみるとね、みんな──この学校の心夏ちゃんに告白した男子のみんなのこと書かれてるんだよ?

名前とかどんな人だとか、趣味とか好きな事とか物とか。私、昨日これを見て私もみんなの、学校のみんなのこと知らなくちゃって思ってまず最初にこのメモ帳の最初のページの人達を覚えてみたの。その中にいた1人があなただったから私はあなたを知っていた」


「だ、だからなんだよ!」


星馬くんは、苛立った表情で声を荒らげてそう言います。周りの人も何人かビクッと肩をはね上げます。


「心夏ちゃんは、告白されても思いには答えられなかった。でも仲良くしたいと思ってたんだよ?

今まで通りに接したいって。じゃないとこんな風にメモ帳にまとめてみんなのこと覚えようとしないし、持ち歩いたりなんてしないでしょ?」


「それは……」


「好きでもない相手にそれっぽく接して告白されたら断って、それからは一切関わらないようにその人を避けてるって噂だったよね?」


星馬くんは、力なく頷きます。


「心夏ちゃんは、みんなに同じように接してた。見てたんでしょ?それに、心夏ちゃんは告白を断っても関わろうとしてた。実際、話しかけられたよね?」


「じゃあ実際に避けてたのってどっち?無視してたのってどっち?本当は最初から、分かってたよね?」


星馬くんは、俯いた顔をあげて私の目を真っ直ぐ見つめます。その目には、もうさっきのような敵意は感じられません。


「確かに生徒会長の言う通りだった。

これじゃあ、フラれたからって言って逆ギレしてるようなもんだよな……

俺が悪かった!本当にすまなかった!」


もちろん、私の答えは決まっています。


「大丈夫ですから、顔を上げてください。

星馬くん。これからは星馬くんさえ良ければ前みたいに、友達みたいに接してもいいですか?」

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