燃える翼と河川敷の灯火――「人」として生きるための、痛切なまでの祈り

燃え盛る研究所から飛び立つ六対の白翼。その神々しい美しさが、追っ手の光線によって記憶と共に削ぎ落とされていく冒頭の喪失感に、強く胸を締め付けられました。

印象的なのは、都会の片隅、石橋の下で暮らす人々との交流です。大人でも子供でもない、ましてや神でも兵器でもない「ただの少女」が、死という不条理に晒され、ボロ衣を纏って横たわる。その生々しい傷跡から「言葉にならない悲鳴」を読み取った河川敷の住人たちの、不器用で温かい覚悟に目頭が熱くなります。

英雄・冬真が、社会の底辺とされる人々に対して地に伏し、頭を下げるシーンには、武力以上の「真の強さ」を感じました。無機質な都会のビル群の影で、冷たい地面の上で交わされる魂の約束。失われた翼の代わりに、彼女が手にする「居場所」がどれほど尊いものになるのか。その再生の物語を、大切に読み進めさせていただきます。

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