第67話 お嬢様無双
俺の1分間あたりのHP自然回復量は1万8000。
そしてMPの自然回復量分である9000をフルに使ってセルフヒールを唱え続けた場合、1分間あたりのHP回復量は14万4900にもなる――のだが……。
――ディメンション・クラッシャー!
――アルティメット・スラッシュ!
――アイル・ビー・バック!
――ホワイトサンダー・ブレイク!
――インフィニット・ブレード!
――虚空刃!
――メテオ・ストリーム!
――スターライト・ブレイカー!
――カラミティ・エグゼクティブ!
――ダークネス・シンドローム!
――ワールド・ディザスター!
――ダンス・イン・ジ・アビス!
――真・皐月乱れ!
――アフタヌーン・ティー・ウィズ・ゴッテス!
――デス・メトロノーム!
――シャイニング・マンデー!
【ディーンから439のダメージを受けた】
【ヒイロから283のダメージを受けた】
【マッキーから458のダメージを受けた】
【ヒカルから947のダメージを受けた】
【ユージから596のダメージを受けた】
【アキハから123のダメージを受けた】
【ミカエルから439のダメージを受けた】
【セイヤから639のダメージを受けた】
【キラメキヨシキから102のダメージを受けた】
【ケイ☆スケから421のダメージを受けた】
【よっちゃんから653のダメージを受けた】
【ユイレンから302のダメージを受けた】
【セキレイから709のダメージを受けた】
【ジロウから397のダメージを受けた】
【ヨシローから182のダメージを受けた】
【ヒロから49のダメージを受けた】
――グワッシャーン!
「あはあああーん!」
俺は16人分の必殺技を食らって身悶えた。
しめて6739のダメージだ。
暑いやら冷たいやら痺れるやらこそばゆいやら……。
とにかく様々なダメージ情報が全身に降り注ぎ、思わず震え上がってしまう。
だが……!
「せ、セルフヒール!」
別にそれでデスるわけじゃない! 落ち着いてセルフヒールを打つ。
俺のHPはもちろん1で、残りのダメージは領民達に均等分配された。
セルフヒールをかけてオーバーフローした分は、みんなのHP回復にまわるようなので、少し多めに回復しておく。
「ちっ! やっかいだな!」
「よし! もう一度だ!」
ディーンさんの掛け声とともに再び……。
――ディメンション・クラッシャー!
――アルティメット・スラッシュ!
――アイル・ビー・バック!
――ホワイトサンダー・ブレイク!
――インフィニット・ブレード!
――虚空刃!
――メテオ・ストリーム!
――スターライト・ブレイカー!
――カラミティ・エグゼクティブ!
――ダークネス・シンドローム!
――ワールド・ディザスター!
――ダンス・イン・ジ・アビス!
――真・皐月乱れ!
――アフタヌーン・ティー・ウィズ・ゴッテス!
――デス・メトロノーム!
――シャイニング・マンデー!
【ディーンから439のダメージを受けた】
【ヒイロから283のダメージを受けた】
【マッキーから458のダメージを受けた】
【ヒカルから947のダメージを受けた】
【ユージから596のダメージを受けた】
【アキハから123のダメージを受けた】
【ミカエルから439のダメージを受けた】
【セイヤから639のダメージを受けた】
【キラメキヨシキから102のダメージを受けた】
【ケイ☆スケから421のダメージを受けた】
【よっちゃんから653のダメージを受けた】
【ユイレンから302のダメージを受けた】
【セキレイから709のダメージを受けた】
【ジロウから397のダメージを受けた】
【ヨシローから182のダメージを受けた】
【ヒロから49のダメージを受けた】
「ぬあっ……く!」
正直、こちょばしくて鳥肌が止まらない!
セルフヒールをかけて回復させるも、俺の精神が耐えられないかも……。
「て……手をやすめるなー!」
「ま、まって……くすぐったくて!」
――ウオオオオオー!
「ぬわー!?」
それからも、ブルーレイザーズのみなさんは力の限りに切りかかってきた。
* * *
大技ってやつは、なんでもモーションがデカいらしく、どんなに頑張っても5秒に1発くらいしか放てない。
なので、16人が全力で俺を攻撃しても、1分間あたりのダメージ量は8万程度で、俺の自然回復量を上回ることはなかった。
――ぜえぜえ
――はあはあ
――げほっげほ
――はあはあ
――ふうふう
――はあはあ
――おほっほ
――はあはあ
――ふうふう
――はあはあ
――ぜえぜえ
――はあはあ
――ゴホゴホ
――うええー
――ぜえぜえ
――はあはあ
みなさんお疲れだ。
MPもすっからかんになったと思うので、しばらく攻撃してこれないだろう。
「ば、化物め!」
「いやあ、それほどでも……」
「褒めてない!」
「もう少しで、こちょばしくて死ぬところでした……」
「な、なにー!?」
リーダーのディーンさんは、悔しそうに俺をにらみつつ言った。
なんか俺、悪いこと言ったかな……。
まあ、俺がここに立つ限り、入国料として払った9999億9999万9999アルスは取り戻せないのだし、そりゃあ悔しいだろう。
「あーはっはっはっは! やっぱこうなるよな!」
ルナさんが、銀色の髪を揺らしつつゲラゲラ笑っている。
本当にこのゲームを楽しんでいるな!
「もう諦めて出直したら?」
「ぬぬぬ……だがこのままでは帰れん! ちょっと待ってろ! 作戦を練る!」
そしてブルーレイザーズのみなさんは、少し離れた場所で円陣を組んだ。
――ヒソヒソ
――ごにょごにょ
「さーて、どう出て来るかな?」
「たぶん、俺以外の村人を狙ってくるでしょうね……」
全力でかかれば、1分間あたり8万もダメージを出せるのだ。
領民総HPは12万だから、やられてしまう可能性は十分にある。
みんなのMPを吸い上げて、ほぼ無尽蔵に魔法が使えるのは俺だけなのだ。
「今のうちに、魔法で焼き払ってしまいましょうか……」
「えー、それはちょっと勿体なくないか?」
「そうですかねえ……」
ちと危ないが、あえて迷宮に誘い込んで領民達に実践経験を積ませるものありだろう。
大金を得られると同時に防衛力もアップするという一石二鳥だ。
「おっ」
「終わったみたいですね」
ブルーレイザーズのみなさんは、円陣を解くとこちらに戻ってきた。
「少々口惜しいが、流石は白金の絆の取得者だ。恐れ入ったぜ」
「それはどうも……」
「だが俺達もこのまま引き下がる気はない。貴方がログアウトするまで、ここで待たせてもらう」
「えええー?」
一番メンドクサイ選択をしてきた!
「せっかくなんで、俺の迷宮を楽しんでいってくださいよー」
「だが、貴方がいては話にならんのだ……」
「だったら、今からしばらく黙ってますんで、その間に攻めて下さい!」
「な、なにぃ……!」
――ピシッ!
空気が凍る音がした。
あれ……俺なんか悪いこと言った……?
「くくく……ははは! あーはっはっはっは! お嬢ちゃん! それは舐めプっていうんだぜ! あーはっはっはっは!」
「えっ!? ルナさん!?」
舐めプっていうのは、相手を舐めておちょくったプレイということ……。
そんな! 俺はそんなつもりで言ったのでは……。
「ぐぬぬぬ……!」
「俺達ブルーレイザーズに対して!」
「なんたる侮辱……!」
「えっ……ええっ!?」
ゲームなんだから、もっと楽しもうよ!
だが、座って待つと言っていたみなさんは、次々と抜刀して構えてきた!
「ならばそこで見ているが良い!」
「すぐに吠え面をかかせてやる!」
「いくぞ者共!」
――ウオオオオオオー!
「えっー!?」
そして16人のイケメン戦士達は、宝飾品をチャラチャラと鳴らしながら迷宮に突っ込んでいった。
「アーッハッハッハッハ! ナイス挑発! やっぱりあんたを敵にしなくてよかったぜ! アーッハッハッハッハ!」
「ルナさーん!?」
もうルナさん、お腹をかかえてしゃがみ込んで、地面をベシベシ叩いて大笑いしている!
「ヒーヒー! あーおっかしー!」
「わわわ、笑っている場合じゃないです! 見に行かないと!」
「そ、そうだな……でもおかしー! うははは!」
「行きますよー!?」
そして俺とルナさんは、リアルはホストなお兄さん達を追って走っていった。
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