第四十五話『復讐がための収穫』

 

 白い太陽が、ガラス越しに照り付ける。

 静かなままなとある農村にて、二人は答弁していた。


「───なぁ姉さん」

「あ、なんだよ。今年の収穫報告か?」


 リーグの言葉に、リベンは怠惰に返した。

 いつもの様に。しかし返ってきたのは、否定だった。


「違う。第一王子が発ってから、大体数十日だろ?」

「……ああ。察した。───あの依頼の事だろ?」

「そう。バックれて無いかなぁーって思うんですけど」

「無い」


 不安げな言葉に、リベンは即答した。

 そして彼女はリーグを睨みながら、こうも言った。


「アイツは、義を重んじる奴だ。心配は無い」

「そうですか───でも、完全に私情じゃないんですかい?」

「アイツだからこそ出来ることだからな。仕方ないだろ」


 リーグはその言葉に、何か言いたそうにしていた。

 でもそれを咄嗟に飲み込んで、嘆息を吐いた。


「……まぁ、そうですね」

「リーグ。ユリスは間違いなく、あたしらを裏切った。

 髪色隠して生きてきたあたしらを、ドン底にまで叩き落としたんだ」

「───分かってる。その報いは俺だって受けさせたいさ」


 リーグは拳を握りしめ、そう呟く。

 その瞬間、リベンの横の機械が振動した。


「──────ほら、収穫らしいぞ」


 リベンは笑った。

 その口角をねじ曲げて、国を滅ぼす悪魔の如く。

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