終章

エピローグ

 名簿には、“桜庭美羽”と“佐々木朱音”、二人の名前が並んでいた。


 今では誰も、どちらがどちらだったか、わからなくなっている。


 どちらが“救った側”で、どちらが“戻ってきた側”なのかも――


 だが、それでよかった。



 記憶が交差し、境界が滲み、ふたりの“私”が共に生きるこの世界。


 鏡守は言った。


「存在とは、“忘れずにいること”じゃ」


「名を呼び、思い出し続ける限り、誰も消えん」


 そして、レッドムーンは、何も語らず……


 ただ、ふたりの少女の影を静かに照らしていた。



 ――(完)――



#ホラー小説

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ブランドムーン-鏡守- 江渡由太郎 @hiroy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ