31話 学園対抗戦(5)
ゴーレムに突っ込んでいったカリナ先輩。
その瞬間に激しい音を鳴らしながら砂埃が巻き上がり、何が起こっているのか全く見えなくなっていた。
そして、それがようやく晴れるとカリナ先輩も相手の人も倒れていた。
どちらも全力を出しすぎて魔力切れを起こしてしまったんだろうな。
結局両者引き分けとなってしまった。
「つまり、あとは僕達が勝つしかなくなったわけだね」
「……うんっ。でも、次は私。リーノは見てると良いの」
マシェが前に出て行く。
その向かいには最初にカリナ先輩に絡んでいった男の人の姿があった。
「カリナの相手は出来なかったが、俺は俺の力を見せるために全力で行かせてもらうよ!」
ビシッと指を突きつけてくるが、マシェはそれを無視していた。
「では、試合開始!!」
審判の合図と共に男の人が突き進んでくる。
その手には細身の剣が握られていた。
「ふっ、この攻撃がかわせるかな?」
男性はさっと素早くマシェに近付いてくる。
無詠唱に対する抵抗なのだろう。
そのまま剣先を突きつけてくる。
ただ、マシェもさっとそれをかわしていた。
すると男性はそのまま素早い動きで何度も切りつける。
それも躱すマシェ。
しかし、その表情はあまり芳しいものではなかった。
「ほう、私と同じスタイルで攻めるか」
マシェの試合を観戦していると意識が戻ったカリナ先輩が隣にやってくる。
「カリナ先輩はもう大丈夫なのですか?」
「あぁ、ふがいないところを見せてしまったな。だがもう大丈夫だ。次は負けない!」
自信たっぷりに答えてくるカリナ先輩。
もっと落ち込むかと思ったが、どうやら大丈夫そうだ。
「それにしてもあいつも単純だな。あの程度の攻撃でマシェが倒せるなら私が既に倒しているに決まっているのにな」
「マシェの方が勝ち越してましたもんね」
「あぁ、本当にどうやってあんな魔法の撃ち方をしているのか、教えて貰いたいくらいだ」
カリナ先輩と話しながらマシェの試合を見る。
苦戦しているように見えたマシェだが、実際は隙をうかがっていただけだった。
「これで終わりだー!」
マシェが避けきれずに体勢を崩したタイミングで更に一歩深く踏み込んで、剣を突きつけてくる。
ただ、その瞬間にマシェの目が光ったように見えた。
崩したように見えた体勢だが、さっと風魔法で体勢を整えた後、相手の剣をかわし、そのタイミングで魔法も放っていた。
「かっ……」
無防備なタイミングで魔法の直撃を受けた相手はお腹を抱えてうずくまる。
「い、今何を……?」
なんとか体を起こそうとする男性だが、その質問に答えることなく、マシェは再び魔法を放っていた。
「勝負あり! 勝者、マシェ・ロックウッド!!」
大歓声の元、マシェが戻ってくる。
相変わらず表情は変えていないように見えるが、手で小さくガッツポーズをしているところを僕は見逃さなかった。
「勝った……」
「あぁ、よくやった。これで後はリーノが勝ってくれたら良いだけだな」
「うん……。私は次に備えておく……」
それだけ言うとマシェは控え室の方へ戻っていった。
「ついに僕の出番なんですね」
笑顔をカリナ先輩に向けると彼女は肩に手を置いてくる。
「くれぐれも相手を殺さないでくれよ。それをすると失格になってしまうからな」
「大丈夫ですよ。ほどほどですよね……」
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