30話 学園対抗戦(4)

「ラミネ、強くなったな」

「カリナこそ……。でも、私の力はこんなものじゃないわよ。炎の嵐フレイムストーム


 渦巻く炎の嵐が私をめがけて進んでくる。

 中級の炎魔法を詠唱省略で……。

 以前の私なら驚かされていただろう。でも、今はそれ以上の魔法を平気で無詠唱ではなってくるリーノがいる。

 そこから思えば詠唱名を唱えているだけかわいいものに思えてくる。


 どのような魔法かの判断がつくから簡単に対処することができる。


 剣に魔力を込め、それで切りつける!


「う、嘘!? じ、自殺行為よ!」


 思わずラミネから驚きの声が上がる。

 ただ、練習中にマシェの魔法を切ることはできた。


 むしろ無詠唱の魔法を使う相手だと、剣で魔法を切ることができなければ一方的にやられてしまう。

 だからこそ特訓の末に得た攻撃方法であった。


 でも、この試合で使うには問題もあった。


「くっ……、さすがに中級クラスの魔法はまだきついか……」


 あくまでも成功したのはラビィが使う初級魔法だった。

 それをぶっつけで中級魔法に使ってみたのだが、結果は無傷で切り伏せることはできなかった。


「いやいや、なんで剣で防げるのよ!! こうなったら奥の手よ! これを防ぎ切れたなら私に勝ち目はないわ」


 はっきりと宣言してくるラミネ。

 それほどに自信のある魔法……。今以上のもの……つまり、上級魔法と言うことだ。

 ただ、挑発をしてくると言うことは詠唱に時間がかかるのだろう。

 私が乗らないと使えない。それなら勝ちを優先するなら乗るべきではないだろう。でも――。


 ここで乗らないと私は後悔するだろうな。

 おそらく彼女も私と戦うことを見込んでこの魔法を覚えたのだろうから……。


 後ろに控えるマシェやリーノに軽く視線を送る。

 真剣な表情で様子をうかがうマシェ。あとは何も考えていないのか、のんきに手を振って応援しているリーノ。


 私が負けたとしても彼らなら勝ち上がってくれるだろう。

 それならば私は私のできることをしよう。


「よし、こい!」


 ラミネの挑発に乗ったことがわかると周りから大きな歓声が上がる。


「その選択を後悔させてあげるわよ。深き地の底より這い出でる土の神よ。今ここに新たな糧を与えん――」


 長々とした詠唱を唱え始めるラミネ。

 もちろん私もそれをのんびりと待つ理由はない。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 全身に溜めれるだけの魔力を込めていく。

 それはあまりにすさまじい量で外から見ても目に見えるほどであった。


「求めるは石の怪物。願うは敵の粉砕。現れよ! 石の巨像ゴーレム!!」


 ラミネが詠唱を唱え終えると彼女の前に立ち塞がるように巨大な石の像が現れる。

 そして、それはゆっくりと動き出していた。


「さすがに剣で戦うあなたにはこの石の巨像は天敵でしょう」


 ラミネがにやりと微笑む。


「そうね、ほとんど突破できる手段はないわね。ただ、ゼロでもないわよ!」


 そう告げた瞬間に魔力を解き放つ。

 全身を強化しての捨て身の突っ込み。


 以前までは足を強化するだけだったが、全身を強化する時間を稼げる程度にまでなった。 これで自身のダメージを大幅に減らすことができ、多少の無茶もできるようになった。

 しかも、剣を強化しているため切れ味すら上がっている。


 間違いなくこれが私の最大の攻撃だ!

 唯一リーノに傷を負わすことができた最強の攻撃……。


 まぁ、あのときリーノに与えた傷は人差し指にほんの少し……紙で切った程度だけで、なおかつ体内から放出される魔力で防いだだけで、かなりハンデをもらっていたが。


「それでも――」


 彼に傷を負わせられるなら他の人にとっては十分に必殺になり得るはずだ!

 そう思いながらゴーレムへと突っ込んでいく。


 ゴーレムはゆっくりとした動きで殴りかかってくる。

 ただ、それを気にすることなくまっすぐに進む。

 その瞬間に大きな音を鳴らしていた。

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