大晦日のサプライズ


 バーラウンジで、茜さんと宇賀さんが、カンパリソーダなどを飲んでいます。


 飲みながら宇賀さんが、

「計画通り、正月四日に女神アウロラ奉仕協会の発足を発表いたします、クリームヒルトさんにも知らせております」


 茜さんが、

「よくここまでもってきましたね、アフリカなども、テラよりはましな状況で落ち着いたようです」

「インドも中国もアラビアも、そして朝鮮もましな状態のようです」


「アナーヒターや私が行えば、あのあたりは一人も残らないかもしれません」


「私たちアスラ族は、声高く権利を主張する者たちを評価しない、まして自らのために『喚く』者に手は差し伸べない、神は冷酷で慈悲深い、謙虚にすがる者は神の加護がある」


 真剣に聞いている宇賀さん。


「アナーヒターは蓬莱を救うべきと判断した、そして貴女なりの救い方でよい」

「宇賀真琴、クリームヒルトが卒業したら、アナーヒターはあとは任せるはずです、私もそれを望みます」

「そしてハレムの話は、サリーさんも了承しているはず、すぐとはいかないまでも約束はされている」


「貴女の娘さんたち、マチ、シズ、ミチはクリームヒルトをよく助けています、よい娘さんたちです」

「宇賀一族もあの三人がいれば大丈夫、ネットワークを支える人材になれるでしょう」


「これから宇賀一族は、ネットワークにどしどしと人材を提供して下さい」

「迷う事はない、思い通りにすればいいでしょう」

「今日の餅つき、蓬莱のお祝いのためのものですよ」


 先ごろ美子さんに、そして今また茜さんに、宇賀一族と蓬莱の未来を約束された、宇賀さんでした。


 エオス号は瀬戸内クルージングを続け、クリームヒルトさんたちは、はしゃぎにはしゃいでいます。

 いつのまにか西田真理亜さんと益子和子さんは、ヴァランティーヌさんと明子さんと仲良くなっています。


 その関係でクリームヒルトさんたちとも仲良しになったようです。

 静香さんがほっとした顔で二人を眺めていました。

  

「舎監さん!ハッピーニューイヤーパーティーには出られるのでしょうか?起きていてもいいのですか?」

 真理亜さんが、静香さんに聞いています。


 静香さんが、

「今日はいいですよ、新しい年を祝わなければね、そうだ、今治港にはもうすぐ着くようです、どうやらサプライズが有るようですよ」

 

 真理亜さん、さっそくクリームヒルトさんに、

「クリームヒルトお姉さま、今治でサプライズがあるのですか?」


 クリームヒルトさんは、

「聞いてはいるのだけど、なにかは知らないの、皆さん、口が堅くて……」


 エオス号が今治港についたのが大晦日の夕刻、大晦日ですからエオス号も満艦飾です。

 日が沈み、純白のエオス号が闇の中、浮き上がるようにライトアップされています。


 現在十時を過ぎた頃です。


 そんな中、茜さんや宇賀さんなどが、タラップ近くに集まっています。

 そこへ一台のタクシーがやってきました。

 一人の女がタラップを登ってきます。

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