ディナーバイキングでお祝い


「やっと終わったわね、ピカピカね!」とクリームヒルトさん。

「ここって丸見えよね、かなり私、お尻を見られたわ」と美千子さん。

「ほんと、男っていやらしいのだから!」と町子さん。


 静子さんが、

「私、別に男と付き合うことは一生ないから、その点、気が楽だけど」


 乙女さんが、

「私の望みは、美子さまに愛されることなの」

 その後、申し訳なさそうに、

「話は変わるけど、私とお京ちゃんは、シャワー栓とか鏡とかを拭いただけで……悪いわ……」


「いいのよ、クリちゃんがいれば、体力はこちらに任せて」と町子さん。

「なんで私なのよ!」とクリームヒルトさん。

「怪力ですものね、皆知っていることよ」と静子さん。


 乙女ちゃんが、

「そうなの?はじめて聞いたのですけど」


 美千子さんが、

「昔ね、クリちゃん、五百円ショップのドアの取手を握りつぶした事があったのよ」

「ミチちゃん!」とクリームヒルトさん。


 京子さんが、

「まあまあ、そんなことよりお腹がへったわ、夕食はお弁当っていっていたけど、足りるかしら?」

「とにかく、終わったって事を報告しなくてはね」

 で報告すると、支配人さんが直々に見に来てくれます。


 支配人さんは、

「ご苦労様です、大変綺麗に掃除をしていただいたようで、宇賀オーナーがバイキング会場でお待ちになっておられます」

「掃除のお礼として用意させていただいております」


 歓声を上げた娘たちでした。


 ディナーバイキングは豪華そのもの、色々な料理が並んでいますが、静子さんなんか、お皿に肉料理ばかりのせています。


 クリームヒルトさんが不思議そうに、

「シズちゃん、ヴィーンゴールヴってお肉が大量にある星のはず、籠目(かごめ)高女の食堂も、お肉がメインと聞いているのに、それでもまだお肉を食べるの?」


 静子さんが、

「ヴィーンゴールヴのお肉って硬いのよ」

 との返事で、クリームヒルトさんは納得していました。


 宇賀さんが、

「まあ食べながらで良いから、これを回して読んでね、美子さまのお言葉ですから、良い話ですよ」

 と、先ほどの美子との話の要約を書き写した文書を、クリームヒルトさんに渡しました。


 皆が一読したのを確かめて、

「お盆の旅行に異論はありませんね」

 と念押しすると、

「異論などありません!」

 と京子さんが力強く応えました。


 その後は大変です。

 周りから見ると、何かのお祝いを盛大にしているように見えたでしょうね。


 宇賀さんが、

「それからね、この後、屋上の貸切露天温泉を一つ、一時間借り切っておきましたから入りなさい」

「夜の事、新しい二人の仲間に、先輩としてよく教えてあげるといいわね」


「とにかく明日からは夏を楽しんでね、私、これから稲田さんと打ち合わせがありますので失礼するわ」

 宇賀さんは、さっさと帰っていきました。


 乙女さんが、

「夜の事って、あの事?」


 クリームヒルトさんが、

「ここでは説明できないわ、後で露天風呂へいったら説明するわ」

「とにかくたべましょう、とてもおいしそうですから」


「あら、クリちゃんは、何でケーキなんて食べているの?」と町子さん。


 クリームヒルトさんが、

「なんかうれしくて、お祝いしたいような気分!だからケーキなの!」

「いまいち分からない理由だけど、私もケーキにするわ」と町子さん。


「そうよね、ケーキが一番元がとれるわ、原価は一番高いのですもの!」

 京子さんの言葉です。


「やはり仕出し屋さんの娘ね」と乙女さん。

 

 この後、六人娘は散々にデザートを食べていましたね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る