第五章 佐田町子の物語 夏休み
温泉プライベートビーチ付き海辺のホテル
佐田町子、つまりマチちゃんは心の奥に気がかりがあるのです。
誰にもいわないし友達もふれることはありません。
夏がやってきてその問題が解決されました。
そして古く新しい友達が戻ってきたのです。
気がかりのない日々を、マチちゃんたちは今日も過ごしていきます。
ただしなにかと周りを巻きこんでですが……
* * * * *
佐田町子は、惑星ヴィーンゴールヴのモンスター地区の第一都市、タナトス・シティにある籠目(かごめ)高等女学校のメイド任官課程四年生です。
特別配慮で編入してきたのです。
本来、蓬莱出身者がこの学校、ましてメイド任官課程へ編入などあってはならないのですが、なんとルシファー様からの推薦という事で受け入れられたのです。
格子という位を持ち、ピンクゴールド・ブレスレットをつけている佐田町子、しかも白狐、そこらのモンスターよりは力を持っています。
メイド任官課程の生徒に支給される、シルバーリングも付けていますが一応奨学金は辞退しています。
田中美千子、大宮静子とともに、どちらかといえば体力勝負の女たち、その真価をダチア高等女学院との対抗戦で発揮したのです。
去年、編入して初めての対抗戦、三回生は綱引き、そもそもヴァンパイア族の女達は、モンスター族よりも身体能力が高いのです。
籠目(かごめ)高女は、綱引き対抗戦でいつも劣勢でしたが、白狐の三人の怪力のおかげで圧勝、クラスメートから一目置かれたのです。
するとそれまでのやっかみはどこへいったのか、ここでもマチちゃん、シズちゃん、ミチちゃん、と呼ばれて人気者になってしまいました。
ダチアも三人の力を認めたようです。
惑星ヴィーンゴールヴにも夏がやってきます。
放課後、籠目(かごめ)高等女学校の寄宿舎で、三人は雑談などをしています。
「稲田先生は宇賀様に呼ばれて帰ったけど、夏休みはどうする?クリちゃんの予定は、どうなっているのかしら?」
「ゴールデンウィークも、クリちゃん忙しくて蓬莱ステーションにはやってこなかったけど、夏休みは蓬莱にいるのかしら?」
そんな処へ、町子さんの十八弁のオルゴールが鳴ったのです。
十八弁のオルゴールは、女官になると全員に支給されますが、メイド任官課程の生徒には支給されません。
しかし三人は格子ですから当然持っています。
立体ホログラムが浮き上がります、クリームヒルトさんでした。
「マチちゃん、やはり皆いたのね、今度の夏休みだけどどうするの?」
町子さんが、
「一度は蓬莱へ帰って、宇賀様にご挨拶をしなければならないから、帰るつもりなの、そのあとは考えていないわ」
クリームヒルトさんが、
「ならね、海水浴へ行かない、『宇賀不動産開発合名会社』がね、瀬戸内の海辺のホテルを買収したそうなの」
「プライベートビーチが有るって、温泉付きよ、でね、山側の部屋で一番端の二階なのだけど、大部屋が三日ほど空いているからって、宇賀さんが押さえてくれたの、皆で行こうと思って連絡したの」
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