私が協力を望んでいる


 最後に美子さんが、

「教職員さんの宿舎がありませんね、関係者でしょう」

「蓬莱ステーションまで行けるのですから、できるならこの敷地にいてもらいたいものですけどね」

 

 先ほどの内調さんが、

「少し高いですが案があります」

「少し離れた場所に、新築マンションがあります」

「かなりの高級マンションですが一棟売りです、これを押さえます」


「この校地の隣にも、いささか古いマンションがあります」

「ここのマンション管理組合に、交換を持ちかけるのです」


「かなりこちらが損ですが、敷地の拡大という事では好都合でしょう」

「中古を新築の広いマンションと交換するのです、必ず乗ってくるはずです」

「急ぐなら、引っ越し業者もこちらで持つと云えばいいでしょう」


 真白さん、それなら寄宿舎の時、それでも良かったかも……でもそれでは無理ね……間に合わないわ……

 

 さすがに相当高くつきそうです、宇賀さんが黙ってしまいました。


 美子さんが平然と、

「それでいきなさい、代金は売買電力代金がかなり余っているはず、それを使いましょう」

「クリームヒルトには私から言っておきます」

 

 このマンション、4LDK、七十三戸の上に立体駐車場がついています。

「部屋が余っているわね……合わせて六十名でしょう……余った部屋はゲストハウスとしますか?」


 静香さんが、

「この際ですから、大司教区政府に、全面的に協力していただいてはいかがですか」

「その方がスムーズに事が運びましょう」


 美子さんが、

「真野さんの云うとおりかもしれませんね」

「すくなくとも大司教区政府は、執政官府との融合を望んでいるのでしょう」

「ここまできたのですから、ともに蓬莱を何とかするしかありませんからね」


「皆さん、この学校は私たちの世界の指導部に、要員を送り出すことができます」

「蓬莱の意見はこの要員によって反映されます」


「これは私たちの世界の約束事、はっきり言えば私に女を差し出し、寵愛された女が、出身惑星の意見を代弁できるのです」

「数が増えれば意見は強くなる、そういう事です」


「現在執政官府という、私たちの出先機関がおかれていますが、出身惑星の意見が強くなれば、将来直轄惑星となります」


「さすれば執政官府が廃止され、直接私たちの指導部と、現地政府が話ができるようになり、寵妃は加速度的に増える可能性を、掴めることになります」

「つまり献上品を、指導部が受けざる得なくなるからです」


「今日は皆さん、このまま帰って上司と相談して下さい」

「私が協力を望んでいる、そして協力するなら、まずはこの惑星を監視する、蓬莱ステーションに招待しましょう」


「ここに送り込まれた教職員には、蓬莱ステーションまでの自由往来を保障しましょう」

「その目で宇宙をながめ、蓬莱の立ち位置について考えてみるのもいいでしょう、私たちの好意を無にしないように望みます」


 美子さんはこのようにいったのです。

 教員さんたちから安堵の声が漏れてきました。

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