閑話 VR課(9)

「そうですか……今度はパーティー全員が……」


あれからしばらく経つと様々な海外の国から同じように消えてしまう現象が起きるようになった。


私たちの国でもテレビで取り上げられた。しかし、運営会社からの返答はたった一行だけだった。


『同意されたゲームプレイにて自己責任で生じた結果について当社は関係ない』


同意書を書いたのだから、全責任はプレイヤーにあると言い切ったのだ。


この回答にマスコミはこぞって運営会社を悪者扱いして叩き出した。人命を何だと思っているのか、そもそもこんなゲームを作って運営していいのか等々。


様々な意見が聞こえていたが、運営会社をバッシングする報道はしばらくするとテレビにも取り上げられなくなった。


「まぁ、うちの会社みたいに、このゲームでお金を儲けている会社は世界各地にあるからね。この国も公にはしていないけど、お偉いさんがたも色々と絡んでいるみたいだから。圧力がかかったのかな?」


世界はVRが無いと回っていかない世の中になっているんだな。


「まぁ、マッパ君。世知辛い話はその辺にしてさ、あっちの世界はどうなの? 何かヒントあった?」


部長が机の上で手を組み、尋ねてくる。流行っているキャラクターの真似をしているそうだ。


「そうですね……ダンジョンへ行けと女神様が言ったので、近くのダンジョンに向かいましたが攻略された後のようで何もなく、攻略した人物がいるとのことで街に向かいましたが、すれ違いで別の街に向かったとのことで会えませんでした。」


「ふむふむ。それで。」


「はい。向かった街へと移動したところですね。そこで勇者ですか? その人に会えるといいんですが。」


部長は顎に手を当てながら目を天井に向けてつぶやく


「ふむ……勇者ってメガネ君かな?」


その言葉に少し胸がつまってしまった。


「どうでしょうか……そうだといいんですが……男女のペアで活動をしているそうなので……何とも言えませんね。」


部長も渋い顔で話を続けた。


「そうだね……。まぁとりあえずは女神様のヒントを元にして勇者に会うことだね。それ以降のことは……まだ考えられないから。」


部長の視線が私から外れ、私の後ろに並んでいるVR機に注がれていた。


私もその視線を受けてチラッと後方を確認しながらつぶやく。


「プリンちゃんもリツ君もまだ来ていません。定期的に連絡はとっていますがこちらに来てVR機を触る気にはならないそうです。」


「そうか……。また皆で遊べる日が来るのを楽しみにするしかないね。それまでは苦しいかもしれないけど、マッパ君もメイちゃんも無理しないようにね。」


「はい。メイさんが来たら伝えておきます。部長も無理しないでくださいね。」


「うん、ありがとう。じゃぁ、また何か情報が無いか調べてくるよ。」


……部長が席を外す。私は席に座って一息ついた。


女神が現れたあの日から『ハーベスト』は事実上の解散状態だ。私もメイさんもVRの世界に入っているが、活動場所を分けているためなかなか会わない。


フゥ。


勇者にあうために私はまたVRの世界へと戻っていく。

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