会社員と緑の守護者(18)
「あのケニーが泣いて笑ってる……」
アスカが驚き、つぶやいた。俺も同じように驚いている。エルフのケニーが涙を流すなんて考えもしなかった。
エルフのケニーは女性を抱きかかえながら、頭を撫でている。とても絵になる光景だ。
ただし、緑色の液体が迫っていなければ。
『はっはっはぁ! 精霊を取り込んだ私に勝てるものなどいない。さぁ、お前たちも森の礎となれぇ。』
大木は枝を震わせ、さらに大量の緑色の液体を飛ばしてくる。
「くそっ! ケニー! 緑色が迫って来てるぞ!」
俺とアスカはケニーに声をかける。
ケニーは女性から目を離し、俺とアスカ、そして大木を見る。ケニーは左手で女性を持ち、右手をかかげた。
「古の契約者よ、語り手よ。己が器に門を開け。ゲート。」
ケニーが発した言葉がきっかけとなり、ケニーの右手から光が放たれる。光はやがて大きな円を描き、光は円の中を飛び交いながら魔法陣のような紋様となっていった。
『逃がすものかぁ!!』
大木は枝を大きく振り出し、勢いをつけて枝をケニーにぶつけようとしている。
魔法陣のような円は、地面に向けて光が伸びて円から円柱へと変わっていき、やがてケニーの姿を少しずつ隠していった。
「ディー! 私たちも行くよ!」
その様子を呆けながら見ていた俺の手を取り、アスカはケニーに向かって走り出した。
「お、おい! 光りに、ケニーにぶつかるぞ!」
「ディー! 飛び込むよ!」
ケニーの姿が完全に消えようとしていた。俺はアスカに手を引かれながらケニーの出した光へと飛び込んでいった。俺の視界は強い光りで白くなり、何も見えなくなった。
グシャァァ。
光りに包まれてすぐ、光に向かって枝が振り下ろされた。巨大な枝に、一瞬にして光は消えてしまった。
『……まぁ、いい。まぁいい。精霊のチカラを我のチカラにすれば、この世界は私のもの。世界は森に包まれるのだ……』
大木の周りを赤黒い葉っぱが大量に舞っていた。
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