第14話〜ウネウネ再び

コッコの里に来てから、早いものでもう1ヶ月。


今ではもうコッコたちに混じって身体を動かすのにもだいぶ慣れちゃった。


毛も生え換わり、もう独り立ちできる立派なレディ!


ただモコモコだった産毛が生え変っちゃったのは残念だったなぁ。


代わりにふわふわスベスベの羽毛になったけどね!


おかげで羽繕いが楽しくて仕方がない。


鏡とかがないから全体的にどうなったのかは分からないけど。


モコモコスズメがすらりとしたハクセキレイになった感じかな?


うん、女神さまありがとう!


(°▽°)ぴょ〜。


……この変な鳴き声は変わらないかなぁ。


…………。


「そこは羽を使ってひねりを加えて……こうっ!」


「ぴょ!」


ギャルちゃんとは今では毎晩のように女子会を開く仲。


一緒に身体を動かして、おしゃべりをして、ごはんを食べて、眠ってともう家族みたいなもの。


ちょ〜ぴょべりぐぅ!


(°▽°)


けどまぁやってることと言えばコッコに混じっての修行なんだけどね。


サボりがちだったギャルちゃんも最近はわたしがいるからって理由で修行に参加してるから、おじいちゃんも喜んでた。


わたしはわたしで昔と違って思い通りに身体が動くから毎日が楽しくて仕方がない。


今なら体も小さくて軽いから映画みたいな宙返りとか、木の幹を蹴って飛び回るのだってできちゃう!


ぴょ!


今なら50メートルを人間だった時より速く走れそう!


……あれ?


…………。


修行の合間、わたしはギャルちゃんに色々と聞いてみた。


「そう言えばわたしの……なんて言ったっけ?種族?」


そしたらギャルちゃんはすごくお間抜けさんを見るまでこっちを見てきた。


「あんたそれ、ひと月経ってから聞く事?どれだけマイペースなのよ」


ぴょ〜。


うっかり聞き忘れてただけなのにひどい!


「うっかりで1ヶ月って……。マルモ鳥よ」


「マルモ鳥?」


「そ、マルモ鳥。本当にどこにでもいる鳥よ。むしろいないのは火山の火口とか海の中くらいって言われるくらいどこにでもいるわ。どんな環境にも適応できる、無害な種族よ」


「ぴょ〜。それ無害かなぁ」


「まぁ主食が木の実だけどなんでも食べるし、他の生き物は襲わないし、農作物も荒らさないから人からも駆除されないし、そんなに強いわけでもないから増えすぎることもないしで、本当に無害としか言いようのない鳥よ。まぁ他の生き物の巣に卵を産み付けるから、そこはちょっと迷惑かもしれないけどね」


うーん、他の鳥さんからしてみたら大迷惑だよね。


自分が苦労して産んで育ててた巣から別の鳥が生まれるんだから。


「たまにドラゴンの巣でマルモ鳥が孵ったなんて話も聞くわね」


「ぴょ⁉︎」


見境なしかい!


…………。


ある日修行を終えたわたしたちに、おじいちゃんからのお呼び出しがあった。


「ほっほ。よくきたのぉ」


「どうしたのよ里長」


「呼んだのはギャルちゃんじゃないんじゃがのぉ。まぉちょうどええか」


「ギャルちゃん言うなし!」


おじいちゃんとお孫さんで2人とも仲良しでいいなぁ。


「ふむ、ここでの生活には慣れたかな?」


おじいちゃんがわたしに聞いてきた。


今更だけどコッコたちを始め、みんな名前がないからなんか会話してるとちょっと不便だよね。


前世での名前って思い出せないし、自分で名前をつけるのもなんか違うよね。


「2人ともこの最近だいぶ頑張ってるし、そろそろ試練を受けてみんかね?」


「え〜、うちはともかくこの子は早くない?」


「ぴょ〜?」


試練とな?


(°△°)


「うむ。まぁ実力的には問題ないじゃろ。おぬしもいることじゃし?ギャルちゃんが怖いならじーじもついてってやるぞ」


「ギャルちゃん言うなし!分かったわよ。受ければいいんでしょ?それで、今回の内容は?」


待って待って、まだ話に追いつけてないよ!


「うむ、ビックワームの討伐じゃ」


ビックワーム?


それって確かわたしがコッコたちに助けてもらったあのおっきなワームのことだよね?

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