二十歳の初夜


 二十歳のとき二人は純潔を捧げました。

 マルスへの移住が完了し、『最後の審判戦争』と、後に呼ばれる戦争が始まる前でした。


 多くの女が一度に抱かれ、皆昇格しましたが、なにかただ事でないことが起こっているような、張り詰めた空気が支配していたのを感じた二人です。


 純潔を捧げる前に晩餐会があり、最後の覚悟を聞かれ、その日に集まった十名は、その覚悟を示したのです。


 二人が一番年長でしたので、皆の手前、毅然とした態度を示そうと努力したのですが、ミコ様の部屋に呼ばれ、先にキムさんが寝室に呼ばれ、待っている間に震えがきて、息が出来なくなりそうです。


 寝室からはキムさんの悲鳴が……痛いと叫んでいるようですが……徐々に悲鳴が変わってきて……明らかに違う絶叫が聞こえてきました。


 寝室のドアが開き、放心状態のキムさんが、服とシーツを抱えて出てきます、シーツには血がついていました。

 キムさんは「つぎはフィオナよ」と云ったのです。


 フィオナさんが入っていくと、「服を脱ぎなさい」といわれ、羞恥心で真っ赤になりながらも、フィオナさんは脱ぎました。

 が、どうしても胸と下腹部を、手で隠してしまいます。


 ミコ様がフィオナさんの手を優しく引っ張り、ベッドへいざないます、そしてキスをしたのです。

 フィオナさんはキスさえしたことはなく、驚いていると大事なところにミコ様の手が……心臓が口から飛び出そうなフィオナさん……


 あとはミコ様のされるがまま、最初の悲鳴はいつの間にか……無我夢中でミコ様の身体にしがみついていましたが、意識が遠のいて行ったのです。


 シーツにはバージンの証がついており、歩くのもおかしげなフィオナさん。

「キムを呼んでくるように」

 ミコ様に命じられ、そのままフラフラと応接間に行きますと、キムさんがまだ放心状態でソファに身を投げ出しています。

 

「キム、大丈夫?」とフィオナさん。

「身体が……私の身体ではない……どうなるの、私、どうなるの」とキムさん。

「とにかくミコ様がお呼びよ、行きましょう」とフィオナさん。


「二人ともいまから私のペットよ、いいわね」

 ミコ様にこのようにいわれ、それが嬉しい二人、壊れたというか壊されたというか、完全に豹変したアーミッシュの二人の娘でした。


 二十歳でバージンを散らしたフィオナさんとキムさん、マルスのアメリカのハウスに所属し、いろいろと雑用をこなしています。


 お食事も作ればお掃除もする、陰日なたなく働く二人に、他の寵妃さんも親しみを持ってくれています。

 なんせアリシアさんが責任者ですからね、清女さんたちも、なにかあれば二人に相談するのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る