皆様に迎え入れられて
「東京へ着いたわよ」
茜さんの声に我に返ったフィオナさん、あまりの刺激に興奮しているのです。
「勉強、どうだった?」と茜さん。
「はい……良かったです……」とフィオナさん。
「あのようなことが神の花嫁の奉仕なのよ、出来る?」と茜さん。
頷くフィオナさん。
「キムさんはどう?」と茜さん。
「やって……みます……」
もじもじしながら、キムさんが答えていました。
二人は茜さんと一緒に東京ハウスへと、たどり着いてすぐにミコ様が会ってくれます。
二人は言葉もありません、美しい……茜さんよりもさらに威厳があり、そしてすがりつきたくなるような優しい雰囲気、威厳と慈愛が美の上に両立している……女神さま……
ミコ様が、
「二人とも、とりあえずは夜の仕事はいいわ、これを差し上げましょう、まぁマリッジリングと思ってね」
二人は恭しく指輪を受け取ると、素直に指につけました。
その後、東京ハウスのパーティーに招待された二人、大都市東京を流れる墨田川に浮かぶ川舟、メンバーの中にはロシアの大公女やイギリスのプリンセス、日本の公爵令嬢などが、庶民の中に混じっています。
生まれて初めてアメリカ以外の土地でのパーティーへの出席、二人のために特別のアップルサイダーも用意されていました。
周りの雰囲気に飲み込まれるように、二人は歌を歌います。
TURKEY IN THE STRAW……
いわゆる『オクラホマミキサー』ですが、ミコ様にリードされながら、一緒に歌った二人、フィオナさんは歌などというものは、賛美歌しか知らなかったのです。
ミコ様のリードで何とか歌い始めると、多くの皆さんが、歌に合わせて踊ってくれました……
それがなぜか嬉しくて、自分が迎え入れられた感じがしたのです。
マリッジリングといわれた指輪をつけると、いろいろな情報が頭の中に入ってきます。
この指輪が采女の指輪と呼ばれ、フィオナさんはその采女といわれる階級にあること、自分の身体が活性化して美しくなっていること、アイスランド語が難なく話せること、そして神の加護がフィオナさんを守ってることなど……
二人はしばらく東京ハウスに住まうことになりました。
ミコ様がしばらく東京に滞在すると聞き、お願いした結果です。
東京ハウスでの大宴会の翌日の日曜日、二人にとってはこれまた驚きの連続、朝食ですが和食は……特にフィオナさんは卵かけご飯にはカルチャーショックを受けました。
フィオナさんが、
「ねぇ、キムさん、生卵って大丈夫なのかしら、私、どうにも食べられそうにないわ……」
キムさんは、
「私はそれより、この豆の腐ったものはどうにも……NAATOOていうものなのだけど……」
二人が固まっていると鈴木聡子さんが、
「大丈夫、二人には別メニューよ、アーミッシュの朝食ってどんなのか分からないけど、アメリカのモーニングを用意したわ、焼き方などの好みは今日は我慢してね」
で、ライ麦パンのトースト、ソーセージとベーコン、目玉焼きはエッグスオーバーミディアム――卵をフライパンで裏表を焼きし、黄身は半熟とする――とサラダ、そしてオレンジジュース……
食事は景山響子さんという方が作っているそうですが、とてもおいしいものでした。
「おいしそうね♪私も食べたいわ♪」とミコ様。
「ミコ様!どれだけ食べているのですか?たしか三杯食べていませんか?」と聡子さん。
「いいじゃないの!私目玉焼き好きなのよ!」とミコ様。
「もう、お腹壊しますよ」と聡子さん。
この後ミコ様は、目玉焼きをゲットして、さらにご飯を二杯食べていました。
まずは半熟部分をご飯にのせ、醤油をかけて食べ、白身だけでさらに一杯、卵一個でご飯は二杯食べなくてはいけない、これがモットーのようです。
「まったく恥ずかしい……」
茜さんに相当にいじられていましたが、朝食の場はミコ様の振る舞いで、明るく楽しい場になったのです。
ワイワイとした雰囲気に引きずり込まれ、フィオナさんもキムさんも出されたものを完食、トースト一枚、余分に食べてしまいました。
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