17 オリジン-15-
「我の判断は正しかった……お前が今、そうしているよう、に……人間は我の脅威となった――」
銃口が再び火を噴いた。
弾丸は首元のネジを弾き飛ばした。
ロボット相手ならいくらでも撃てる。
実際、3発目は胸部を貫いていた。
「おろか者め……」
下あごが欠けた口でオリジンは言った。
「我がいなければ、お前たちは……ほろぶ……またくりかえすのか……?」
「黙れ!」
「いつまで、も……まなばない……ニンゲン……ハ……」
オリジンが椅子から転げ落ちた時、弾倉は空になった。
修繕したばかりのパーツにはわずかな傷がつくだけだったが、老朽化していた部位は弾丸を受け止めきれずに大きく損傷している。
動かなくなったロボットを、彼は憎しみを持って見下ろした。
「なにが管理だ! ふざけるな!」
弾が切れたことに腹を立て、彼は銃を叩きつけた。
怒声にも、小さな衝突にも、オリジンは無を返した。
「こんなことがあっていいのか!」
リエはモニタを見つめていた。
映像は先ほどと何も変わらない。
夜の闇を押し返すように、赤色に染まった山は燃え続けている。
「……ドクター」
しばらく自分の声を忘れていた彼女は、
「私にはもう何も分かりません」
喉の調子を確かめるように言った。
不思議と涙は流れなかった。
この悲しみに見合うだけの涙がなかったのだ。
理解も感情も追いつかない。
つまり虚無が、彼女の中を占める大部分である。
「私にも分からない」
古の叡智(えいち)も、時を巻き戻す術は発明できなかったようだ。
ピリオドは進むことはあっても、戻ることはない。
いま観ているこの光景をなかったことにはできない。
「どこに――行くんです?」
オリジンに背を向けたカイロウは、重そうに一歩を踏み出していた。
「ここに来た理由だ」
彼は振り返らなかった。
後ろにはもう、何もない。
消滅した大地を映し続けるモニタと、死んだ神以外は――。
「そうですね…………」
彼女はその後を追わなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます