16 楽園-3-
真白な通路が続いている。
床も、壁も、天井も。
目を凝らさなければその境い目が見えないほど、清々しい純白だった。
「壁や床自体が光っているみたいですね」
電球やランプの類は見当たらない。
そのおかげで壁や天井までの距離感が狂い、ここが通路であることも、自分たちが歩いていることさえもすぐには実感できなかった。
「そのようだね。それに暖かい」
彼はそう言ったが、心地が良い場所ではなかった。
目印になるものがないせいで、気を抜くと自分がどちらを向いていたか分からなくなりそうだ。
おまけに四方八方から光が当たっているという環境も、状況を考えれば監視されているようで圧迫感がある。
景色が変わらないというのも不気味だ。
「足元に気をつけたほうがいいですよ」
「段差でもあるのかい?」
「いえ、何もないから転びそうになりました」
歩くこと数分。
風景に変化が見え始めた。
彼らにとっては懐かしい、冷たい金属の感触の壁だ。
縦にいくつもの切れ目があり、そこから風が吹きつけている。
「センサーか何かかもしれないな」
「風を遮ったら感知する仕組みですか?」
「可能性はある」
2人の足が止まった。
ここまでは一本道で、他に迂回できそうな場所はない。
「引き返しますか? あの倉庫みたいな部屋……他にも道があるかもしれませんよ」
豪胆だが慎重なリエは、迂闊に足を踏み入れることはしない。
「さて、どうしたものか……」
切れ目はいたるところにあり、風を避けて通ることは不可能だ。
カイロウはしばらく考えてから言った。
「いや、進もう。こんなところで立ち止まっても仕方がない」
ここに至るまで一歩間違えば命を落としかねない危険を何度も冒している。
今さらこんな横風に怯える必要はない、
というのが彼の意見だが、実際のところは早く娘に逢いたいという想いが先行しているためだった。
そっと手を出してみる。
やや冷たい風が手の甲を叩いた。
「何も――ないみたいだ」
「ただのすきま風でしょうか。空気を逃がすためとか」
すぐ後ろを行くリエは左右から吹く風に身をよじった。
警報でも鳴るのではと身構えていた彼女は思わず辺りを見回したが、これといった兆候はない。
「またか」
鉄製の重厚な扉がはだかった。
先ほどと同様、壁面にパネルが埋め込まれている。
すぐに銃を抜けるように備え、パネルに触れる。
扉がゆっくりと開き、光が差し込む。
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