第6話
「おう」
ベランダに出て、いつものように水やりをしている私に古賀君が声をかけてきた。
「こんばんは」
「祐司サンは元気?」
「え?
あ、祐司? 元気そうですけれど」
「そ」
誤解されているのだろうか。
「別に、祐司とは友達なだけですよ?」
「だろうね」
予想を反した答えに私はなんだか拍子抜けする。
「……」
「田辺さん、自然な顔してたよ。祐司サンといるとき」
「自然な顔?」
「そう」
私は戸惑った。意味を測り兼ねていた。
「田辺さんさ、女子の集団といるとき、顔が緊張してるよ。なんか蝋人形みたいな? って言い過ぎか」
どきりとした。
「そ、そうかな……」
「自覚ないの?」
「……」
心臓がバクバク言い出した。自覚がないわけない。
「あんな顔してまで一緒にいる必要あるわけ?」
古賀君の言葉が胸に突き刺さる。それは最近いつも自分に問うていたことで。
「そ、それは……」
「田辺さん、楽しくないっていうより苦痛な顔してるよ」
「……!」
心が悲鳴をあげた。
古賀君に指摘されるということは、8人にも気づかれているということなんだろうか。一緒にいるのが苦痛だと。
「一緒にいて苦痛なんて友達って言えるかな」
古賀君は容赦なく続けてくる。
いつかは選ばれるのではないかと期待してしまう自分がいた。どんどん孤立していっているのに、いつかは隣に誰かが座ってくれるんじゃないかと。
いつしか涙が頬を伝っていた。
「っ」
「……また泣かせちゃった? ごめん」
私は頭を振った。
「違っ。古賀君の言うことは正しいと思います」
私は問題を先延ばしにして解決しないように自分でしていたんだ。答えは見えていたのに。
私は。私はどうしよう。分かっているけれど、でも、でもどうしよう。
「ま、隣人としては田辺さんが幸せなことを望むかな」
「……っありがとうっ!」
「じゃあね」
あれ? 今日は煙草のにおいがしない。何で出てきてくれたのかな? 私にそれを言うために?
(まさか)
偶然でもよかった。私は少し勇気づけられた気がした。
私、明日からどうする? どうするの? 決まってるよね。こんなんじゃ、皆にも失礼だよ。
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