勇者と薬師という対照的な立場に置かれた幼馴染二人の関係性を軸に描かれる、味わい深いファンタジーです。
魔物に村を滅ぼされた過去を共有しながらも、世界を救う表舞台に立つイズミと、日常の延長で人々を支え続けるシロウ。その距離感が、再会のたびに少しずつ変化していく描写がとても丁寧でした。
勇者譚の裏側で進むのは、薬草を集め、ポーションを作り、確実に命を繋いでいく地道な営み。
イズミの軽妙なちょっかいと、シロウの淡々とした語り口の掛け合いも心地よく、二人の積み重ねてきた時間が自然に伝わってきます。
物語が進むにつれ、陰謀に巻き込まれていく展開は緊張感があり、勇者と薬師という役割の差が、単なる立場の違いでは済まなくなっていくのが切ないところ。
遠回しに言えば「俺が世界を救っている」と言えるその感覚が、この物語の核心であり、派手な英雄譚とは異なる確かな読後感を残してくれる一作です。
非常に書籍化して欲しい。願わくば漫画になって欲しいし、ついでにアニメ化して欲しい。
ストレートにそう思えてしまう程の完成度の作品です。
ポーションを作って生計を立てる薬師の少年と、勇者の少女。
まったく立場の違う2人の幼馴染を中心に、魔王やその四天王、そして過去から続く壮大な物語が繰り広げられ、非常に綺麗に完結しています。
ちょっとだけ捻くれ者で、でも年相応で、なんだかんだ優しい主人公のシロウも、明るくて、強くて、優しくて、でも脆く悲痛な一面を抱えるヒロインのイズミも、非常に人間味のある魅力的なキャラクター。
そして何より、無駄な描写のない洗練された文章が物語の中にぐんぐん惹き込んでくれます。
どんな人にも自信を持ってお勧め出来る作品です。是非ご一読を。