エッセイが読みたい……? ならばこれこそ読むべきです!
- ★★★ Excellent!!!
書かれているのは、著者の“今まで生きてきた中”のこと。
海外に滞在したときの話。
日本の旅行の話。
商売をしてみたことの話。
映画の話。
日常の話。
家族の話──。
どの話も、自らの思い出でありながら、少し距離を取ったような落ち着きを以て書かれています。
そしてそれが、とても読むのに心地が良いです。
「少し距離を取ったような落ち着き」と書きましたが、同時に思い出(それがどんな感情のものであっても)をとても大切に手のひらに包み込んでいるような温かさも感じられます。
淡々と描かれる情景は細かく描写されているわけでもないのに、不思議と風景が頭に浮かびます。
言葉の選択のセンスの良さが素晴らしいと感じました。
エッセイを読むのが好きという方には、ぜひ読んでいただきたい作品です。