第23話 絶望



 翌日も、翌々日も美沙ちゃんに会えなかった。


 結局、真奈美さんを学校の最寄り駅まで気づかれぬようにストーキングして、最寄り駅で待ってた風を装うというパターンのまま、八月三十一日を迎えた。




「ね。市瀬さん。明日からは、どうする?」


最後の夏休み補習が終わった教室で、佐々木先生が真奈美さんに尋ねる。


 もちろん教室に復帰するか、保健室登校を続けるかということだ。真奈美さんが、ちらりと俺のほうを見る。俺の意見を求めているわけじゃない。真奈美さんの答えはもう決まっている。


 余談だけど、最近俺のニュータイプ能力がすごい。真奈美さんが口を開かなくても、このくらいは分かるようになってきた。今夜あたり、妹を相手に格ゲーでニュータイプ能力を試してみよう。ひょっとしたら、攻撃される前に避けられるかもしれない。


「…きょ、教室に…行ってみた…い…けど…」


「明日は朝、家まで行こうか?」


「……いいの?」


「ああ、学校にも人が多くなるしね。たいへんだろ」


「…うん。ありがとう」


たいした助けにはならないかもしれないが、朝からHPを削られて学校に来てからの教室デビューをするより、HP満タン状態からした方が楽だろう。


「一応、保健室の机もそのままにしておくから、駄目そうだったら、保健室でもいいからね」


佐々木先生も、逃げ道を確保しておいてくれるみたいだ。助かる。


「それじゃあ、そういうことで、また明日ね」


「じゃあ、失礼します」


「……し…ます」


 真奈美さんと連れ立って、学校を出る。


 夏休み最終日なんだが、結局、途中一週間のお盆休みをのぞいて、毎日学校に来ていたので夏休みという感じがしない。


「夏休みも終わりかー」


まだまだ夏真っ盛りの空をあおいで、口に出してみる。実感を伴わない。空気も、まだまだたっぷり一ヶ月は三十度超えてやるぜという意気込みを感じる暑さ。


「……な、なおとくん…あの…」


珍しく真奈美さんの方から話しかけてくる。


「ああ。なに?」


「…な、夏休み…だ、だい…なしにしちゃった?」


「いや。こういうのもアリだと思う」


本心だ。旅行とかには行かなかったが、午後は空いていたから別になにかを犠牲にした感じもしない。これで、真奈美さんがちゃんと三年生に進級したら、俺もちょっとだけ手助けできたという達成感を感じられる気がする。


 こういうのもアリだ。


 …ただ気になるのは、やっぱり。


「あ、あのさ。美沙ちゃん、まだ怒ってるみたいだった?」


家では真奈美さんは美沙ちゃんと会っているのだろうか?午後もちゃんと部屋から出てきてる?真奈美さん?


「…よく、わからない…私の部屋に来ないから…」


やっぱり家では部屋から出てないんだね。まぁ、学校に来てるからいいけど。


「…でも」


「うん」


「…昨日、美沙の部屋から…」


「うん」


「エッチな声がしてた」


「なんですとぉーっ!」


「ひぅ…」


「あ、ごめん。ちょっと驚いて…。脅かして、ごめんね」


「…う、うん」


まさか美沙ちゃんに彼氏が出来て、それで俺と会いたくないのか?


 いつのまにー。


 いつのまにー。


 あー。ぐるぐるぐるぐる。


 つーか、エッチな声って…。うあああ。


「な、なおとくん。あ、あぶないよ」


はっ。


 危ない。なんで、俺はホームから線路に向かって歩こうとしているんだ。


 そ、それにしても。


 それにしてもー。


 美沙ちゃんの部屋から、エッチな声だとぉ…。


「…で、ど、どんなやつだった?」


ぶっ○○すには、ターゲットを知らないといけないしな。ぎぎぎ。


「なおと、くん。大丈夫?か、かおがすごいよ…」


「だ、大丈夫だ。問題ない。だから、み…美沙ちゃんの、か、彼氏って…」


うぐっ。胃液が上がってきそうだ。


「…か、彼氏って?」


「ち、ちがうの?」


「…ううん。た、たぶんゲームの、お、音だと…お、思う…」


「ゲーム?」


え?どういうこと?


「…み、美沙は…か、彼氏が出来てもああいうの言わないと、おも、う、から…」


「言う?」


「…その…な、なんとかミ、ミルク出ちゃうとか…」


えっと…美沙ちゃんってば、なんのゲームやってんのかな。そして、あの和風美少女の美沙ちゃんがそんなゲームやるとはちょっと信じられない。きっと悪い友達の影響にちがいない。うん、きっとそうだ。


◆◆◆◆


「おい」


「ふぎゅぎゅ」


家に帰ると、美沙ちゃんの悪い友達が俺の部屋で漫画を読んでいた。蹂躙した。


 ぐりぐりぐりぐりぐり。


「ふぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ、ふぎゅするっすー」


妹が抗議の声をあげる。


「罪状認否と裁判をすっ飛ばして、刑の執行をしてた」


「これがザビ家の独裁ってやつっすね」


「ザビ家は関係ない。ってか、おまえこの間もって行った俺のエロゲどうした」


「美沙っちが持って…るっすーぎゃーっ」


妹の襟元と、ホットパンツの裾を掴んで高々と頭上に差し上げる。


「落とす前に一つだけ聞いてやる。どのゲームを美沙ちゃんに渡したんだぁーっ!?」


「ぎゃーっ。待ったー。にーくん。待ったー。高い!怖い!マジ、洒落ならないっすーっ。こわいーっ」


マジ泣きしやがった。くそ。


 仕方なくベッドに軟着陸させる。


「んでっ!」


「で?なんすか…」


「あなたは、どのゲームを、美沙ちゃんに、渡しましたか?」


日本語わかりますかー。


「…姫騎士アンジェリカ…」


「…………」


「…『姫騎士アンジェリカ~あなたって本当の屑だわ!~』を渡したっす」


「……って、あれか?」


「あれっす。アンジェリカ姫を雌豚に仕上げるゲームっす。搾乳調教とか、姉妹輪姦とかのアレっす」


「…そうか。アレか…」


机のペン立てからカッターを取って階下に降りた。浴室に入り、蛇口を開ける。父さん、母さん。今までありがとう。本当にゴメンね。カッターの刃を手首に当てる。


「わぁあああっ!にーくん、落ちつくっすー」


危ないっ。真菜!カッターを持っている腕を掴むな。


「待つっすー。早まってはいかんっすーっ。死んでも、なんにもならんっすよー」


妹がカッターを俺から取り上げると、刃をしまって浴室の外に投げる。


「ほ…放っておいてくれ!み、美沙ちゃんに、あのゲームをやっていることを知られて、なぜ生きていられるのだ」


死ぬしかない。マジで。


「待つっすー。話を聞くっすー。美沙っちも泣くっすよー」


「明らかにうれし泣きだろ!世界が一つ浄化されたって思うよね!よりによって、エロゲ界の極北を渡しやがって。搾乳調教とか選択肢のあるゲームを美沙ちゃんに渡すとは…ぎゃああーっ!」


耐えられん!これ以上生きていることに耐えられない!


「き、聞くっす。あ、アレだけじゃないっす。だから、あれが極端な例だってのは、美沙っちにも分かってるはずっす!」


 浴槽から水が溢れ始めて、俺を濡らす。


 この上に、さらになにを渡したんだ。こいつ。


「『ぜったい猟域☆セックス・ロワイアル!!~無人島犯し合いバトル~』も渡してあるっす!」


俺は水の溢れる浴槽に頭から逆立ちで突入した。入水自殺。


「待つっすーっ!!」


ざばぁっ。


 妹に引き上げられた。


「死なせてくれ!」


ざぶんっ。


「だめっすー」


ざばぁっ。


「お前!俺を殺したいんじゃないの!?俺、死ぬ!おっけー?」


ざぶんっ。


「んなわけないっすよー」


ざばぁっ。


 じゃあ、なんで《ローター【胸】》なんて選択肢の出てくるゲームを美沙ちゃんに渡すんだ。それは死ねという意味だ。知らんのか!


「美沙っちに聞かれたっす」


「なにをだ!俺が、どんなに死ぬべき屑なのかをか!?」


「ちがうっす。に、にーくんが、どんな女の子を好みなのか聞かれたっす」


「なんで、それでエロゲを渡すんだ!」


「にーくんが抜いてるゲームを渡すのが一番じゃないっすか?」


「んなわけあるか!」


俺は、妹をバスタブに放り込んだ。


「ぶばぁっ!な、なにするっすかーっ!」


妹の声に聞く耳持たずに風呂場のドアを閉めて、脱衣所でびしゃびしゃになったシャツとズボンを洗濯機に放り込んでから部屋に戻る。もうどうでもよくなってきた。まぁ、おかげで少し頭は冷えた。


 部屋で着替えを出そうとしていると、ばたばたというか、ばしゃばしゃというかの音が迫ってきた。


「にーくんっ。早まっちゃだめっすーっ!」


ばたんっ!


 妹がびしょぬれのまま、俺の部屋に飛び込んできた。まだ、続いてたの!?


 そのまま、妹にタックルされて床に転がされる。いかん。妹の目が完全にイッてる。ふざけやがって、おかしくなりそうなほどの恥辱を感じているのは俺であって、なんでお前の方がテンパるんだ。


「だめっすよー。にーくんっ!落ちつくっすーっ!まだ、はやいっすよー!」


「落ち着いてるよ!うわぁっ」


あらためて、俺にマウントポジションを取る妹を見て驚く。Tシャツでびしょぬれになったせいで、いわゆる濡れT状態だ。


「なんでお前、下着つけてないの!」


「わたたたたしの、ブラのこととかどーでもいいっすーっ。そ、それより、にーくん早まっちゃだめっすよー」


「俺は、大丈夫だから。落ち着いたよ!」


そのとき階下で音がした。


「真菜ー。直人ー。なんで、こんなに廊下も階段もびしょぬれにしてるのー。いいかげんにしなさいよー」


母さんだ。


 …!?


 落ち着いている場合じゃない!


 俺は、パンツ一枚。妹はびしょぬれの濡れT(ノーブラ)。


 そして、妹オン俺!


「やべぇ!離れろ!未曾有の大誤解が発生する!」


ふざけてる余裕はない。妹を力任せにベッドに投擲して、俺は慌ててズボンを穿く。火事場の馬鹿力だ。


「なにしてんのー。直人!真菜!いい年して、水遊びしたら、ちゃんと廊下と階段拭いておきなさいよ」


「わかった。ちゃんと雑巾がけもしておくよ」


間に合った。本当の本当に死ぬしかないところだった。




 びちょびちょだ。




 濡れそぼった妹をベッドに放り投げたせいで、ベッドがびちょびしょになった。


 慌てて、窓から敷布団とマットレスを干しているが、夜までに乾くかどうかはわりと微妙なくらいに濡れている。


「今夜は、床で寝るしかないか」


本当についていない。


 それにしても、美沙ちゃんが出てこない理由も分かった。


 ようするに、俺が気持ち悪いからだ…。


 今から言っても、すべてが言い訳だがアンジェリカの方は、俺もちょっとこれは…って思っていた。でも、買うときは、たまたま…その、あれだ…溜まっていて、なぜか「おもうままに調教かぁ。いいよな!」とか思っちゃったんだ。今になって思うと、賢者モードの逆状態だった。


 とは…美沙ちゃんはわかってくれないのだろうな。


 ……。


 部屋でorzっていると、妹が入ってきた。ちゃんと着替えている。


「もう一度着替えて来い」


「なんでっすかー。萌えないっすか?」


なんで、中学のころの学校の体操着とスパッツなんか穿いてるんだよ。意味がわからん。


「…意味わからん」


「わかったっす」


妹が部屋から出て行く。


妹が部屋に入ってきた。


「だから、意味のわからんことするな。着替えて来い」


「スク水はだめっすか?」


「…駄目だ」


妹が部屋から出て行く。


妹が部屋に入ってきた。


「普通にTシャツとジーパンとかにできないのか?」


「そのほうが萌えるっすか?」


「なんでわざわざ中学のころの制服着て、膝あたりにパンツ1枚追加してるんだ?」


「追加だと思うっすか?」


「まさか、追加じゃないのか?」


だとしたら、妹を病院に連れて行かなくてはいけない。


「追加っす。足パンっすよ」


「足パン?」


「スカートを穿いている足に、パンツを追加するとにーくん興奮しないっすか?」


「……」


白状しよう。ちょっと、エロいなと思った。


「興奮したっすね」


「着替えてこい」


「…わかったっす」


妹が、ようやく普通のTシャツと五分丈パンツに着替えてくる。こいつくらいペッタンコだと分からないが、今度はちゃんと下着つけているんだろうなこいつ。っていうか、こいつ、どのくらいの頻度で下着つけてないんだ。ちゃんと指導した方がいいんじゃないか?


 机の上の電気スタンドを手にとりながら考える。


「で?結局、お前、美沙ちゃんになにを渡した?全部吐け」


かっ!妹の顔に明かりを照射する。これって、なにか効果があるのかな。


「エロゲが『姫騎士アンジェリカ』『ぜったい猟域』『ぜったい絶頂性器の大発明!! 処女を狙う学園道具多発エロ』。エロ漫画が『恋するニーソ』っす」


……くらっ。


「そうか…わかった。うん。もう行っていいぞ」


ドアを開けて、丁重に妹を送り出す。


 手遅れだ。パッケージに書かれたタイトルと、なによりパッケージ裏だけでも完全にアウトだ。次に美沙ちゃんに会ったときには、ゴキブリの三倍は嫌われているのが確定した。


◆◆◆◆


 翌朝、寝不足で若干腫れた目で、市瀬家に行った。真奈美さんを迎えにここまで来るのも、久しぶりだ。今日は、久しぶりに真奈美コーヒーが飲めるかな…と思って、そういえば美沙ちゃんの今の事態を思い出して、コーヒーを飲む前から口の中に苦いものが広がった。


 呼び鈴を押す。


「いらっしゃい。二宮くん、真奈美が待っているわ」


お母さんが応対に出てくれる。予想通り、美沙ちゃんでなくて助かる。


「おじゃま…します」


あがろうとしたところで、ふとお母さんの背後にぱたぱたと階段を昇っていく美沙ちゃんが見える。避けられている…。予想通り。


 久しぶりの真奈美コーヒー。相変わらずの美味しさ。


「少し、味が変わった?」


「…うん。豆、古くなってたから、新しいのにした。少し、酸味の弱いのに…」


コーヒーなんて、どれも同じ味だと思っていたのだけど、真奈美さんの入れてくれたコーヒーはちゃんと豆が違うと、違う味になる。


「二宮くん、美沙がごめんなさいねー。なんだか知らないけど、妙に照れてるのよねー」


お母さん、それは照れているんじゃないと思います。というか、市瀬家に出入り禁止になっていなくて良かった。『姉妹輪姦イベントのあるゲームとかやってましたぜ、コイツ!』とか美沙ちゃんに言われていたら、左横に座るダンディなお父様にダンディに叩きのめされているところだ。




 真奈美さんと連れ立って、市瀬家を出る。美沙ちゃんは、少し時間をずらして出るらしい。お母さんに「遅れないようにしなさいねー」と言われていた。


 駅へ向かう道中、真奈美さんは珍しくご機嫌だ。もちろん、真奈美さんエキスパートにしてニュータイプな俺だからわかるレベルのご機嫌度なんだけど、なにせふらつく率が少なくて、直進率が高い。これは、そうとうにご機嫌だと思われる。難しいだろ、真奈美さんのご機嫌判定。


 電車に乗ると、さすがに学生が多い。うちの学校の制服も多い。真奈美さんは、カバンを抱きしめて、目を伏せて怖いものをなるべく見ない姿勢だ。その姿勢でも掴まれるように、サラリーマンのオッサンに迷惑そうな顔をされながらもぐいぐいとスペースを作って、つり革ではなくてポールのある位置を確保する。


 まぁ、二駅のことだから我慢してくれ、オッサン。


 そして、学校。


 校舎に入ったところで、昨夜、メールしておいた通りハッピー橋本と上野と合流する。真奈美さんが、カバンから上履きを出して、ズックをビニール袋に入れるのを待って移動する。


 真奈美さんは、目に見えて一歩一歩のリズムが遅くなる。


 がんばれ。


 フラフラとしながら、真奈美さんの教室にたどり着く、後ろの扉を開けて中に入る。俺も橋本と上野と一緒に入る。そのまま、教室の一番後ろの席。真奈美さんの真新しい机にカバンを置いて、四人で駄弁り始める。


「ハッピー。なに、他のクラス侵略してんだよ」


「うっせー。いいだろ」


「ハッピーは駄目だ。うぜー」


「声、でけぇし」


ハッピー橋本は、なにげに人望がある。他のクラスにも友達は多い。自然と、このクラスの男連中がハッピーを小突きにやってくる。人望だっけ?いじられてるだけだっけ?


「あれ?ってか、席、一つ多くね?」


「……」


真奈美さんが、固まっている。真奈美さん、今だ。がんばれ。


「お前ら、ひでぇこと言うな。市瀬さんだよ。市瀬真奈美さん。ま・な・み・ん。夏休みボケで忘れてんじゃねーの」


上野も、わかってるな。


「上野、お前、なんか真奈美さんに勝手なニックネームつけてないか?」


「あー。このクラスだったっけ?」


「市瀬さんは、このクラスだから。忘れてんなボケ」


「言っておくが、市瀬さんは俺らの救世主だったから」


「なにが?」


「課題は市瀬さんのご神託で楽勝でした」


「楽勝だった」


「楽勝っした」


「ハッピー、なんで俺らに教えないんだよ!」


「お前ら、違うクラスだし」


「じゃー、なんでハッピーがココにいるんだよ。市瀬さんはうちのクラスだろ。勝手に上手いこと利用してんじゃねーよ」


真奈美さんを見ると、前髪の隙間からきょろきょろおろおろしながら、会話に入り込めないでいる。それでいいんだ。男友達は、別に会話に入ってこなくても、その輪の中にいればいいんだ。


 そのまま、がやがやとした教室の雰囲気に飲み込まれる。


「ほらー。席についてー。夏休みボケどもーっ。席に着けーぼけぇー。なんてねー」


夏休みボケというか、どこか夏コミぼけを引きずった佐々木先生が教室に入ってくる。


「うぉっ。やべぇ」


ハッピーと上野と、俺は隣の教室に急ぐ。


「またね。真奈美さん!」


「市瀬さん、またなー」


「んじゃ、市瀬さん」




 ばたばたと自分の教室に駆け込むのと、うちのクラスの担任が教室に入ってくるのはほぼ同時だった。どうやら、佐々木先生は、少しだけ早く教室に来たみたいだった。




 ホームルーム中。机に隠れて、ハッピー橋本と上野に《さんきゅー》とメールを送った。






(つづく)

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