第一話を読んだ時点でそう思えるほど、内容は濃く、熱量に満ちた作品でした。
私は小説も学術書も図鑑も、すべてをひっくるめて「本」と呼んでいます。そして、自分にはない知識や価値観を得られることこそが、読書の醍醐味だと考えています。
その基準で言えば、この作品はまさに一級品です。異世界に対する前提知識の深さと、それを積み重ねていく考証の緻密さには度肝を抜かれました。
こうした作品は、情報量の多さゆえに読みにくくなりがちだと思っていました。しかし本作はカクヨムで連載されているだけあって、驚くほど読みやすい。気づけばページをめくる手が止まらず、スルスルと読み進められてしまいます。
知識を一方的に披露するのではなく、一つのテーマを掲げ、著者様自身も読者と同じ歩幅で考えながら話を進めてくださる。そのため、一節読み終えるたびに「なるほど」と腑に落ちる感覚があり、その積み重ねが心地よい作品です。
まだすべてを読み終えたわけではありませんが、私のおすすめは『回復薬は存在し得るか』です。
現代までに蓄積された知識と照らし合わせながら、それでも「異世界」というIFの世界だからこそ成立する可能性を真摯に考えていく。その姿勢に触れて、物語にリアリティを持たせるためには、まず現実を丁寧に見つめ、そこに創作ならではのエッセンスを加えることが大切なのだと、改めて考えさせられました。現実とは違う世界だからこそ、そこに納得できる理屈があると、より一層ワクワクできるのだと思います。
私は気になった章からつまみ読みするような形で楽しんでいますが、どこを読んでも非常に高いクオリティでまとめられており、「ここだけ読んで失敗した」と感じる箇所がありません。
皆様もぜひ、気になったテーマから読んでみてください。
きっと読み終えた頃には、このレビュータイトルに込めた思いに共感していただけるはずです。
本当に素晴らしい作品をありがとうございました!
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