６センチの向日葵

あー眠い、まだ五時間目かよ

右目を擦りながら担任の頭の上の時計を見る

今日が金曜だろ？

帰ってすぐスペインか…

親父が学校は行っとけって言うから行ってるけどさ

超多忙だべ？

旅費はスポンサーから出てるとはいえ毎週末どこかしらのレースに出て、平日は学校終わりにチームと電話で打ち合わせ、学校だってテストもあるしさぁ

｢晴樹ーなぁ、晴樹ー｣

声の呼ぶ方を見ると今目覚めたばかりの顔をした大山が俺を呼んでいた

ん？なにどしたよ

｢今日一緒に帰ろ｣

おーいいけど、お前今日も車で来てんだろ？

大山は誕生日が早いので早々に免許を取りこっそり車で通学してる

｢うん、晴樹どうせ○○空港行くんだろ？送ってってやるよ｣

え？まじ？俺ん家行ってから空港まで送ってくれんの？？

｢うん、いいよー今週末チャンピオンかかってんだろ？俺らからの応援だよ｣

おーサンキュ どこ居ればいい？？

｢終わったらさ、あそこのコンビニにいてよ車持ってくるから｣

あーOK

〜その車内〜

｢そういやさ、今度やるホラー映画あるじゃん？｣

ん？そんなのあった？

俺は次のコースのマップを見ながら運転席の大山にそう返した

｢うん、やるんだけどさ、主演の女の子3人居てね、1人めっちゃ晴樹が好きそうな子が居るんだよ｣

へー？どんな子？

｢これこれー｣

大山がスマホの画面をこちらに見せる

真ん中の子？

｢ほらやっぱりー、見た目好きでしょ？ちょっと背が低くてさ顔が子供っぽいけどしっかりしてそうで大人っぽい感じ｣

だいぶ難しいなそれ、まぁでも好きかな見た目

｢この子最近めっちゃ人気なんだよ、○○の表紙したりしてて、モデルなんだけどさ｣

へー、モデルかぁ接点ないなぁ

｢甘いなぁ晴樹は｣

何が？

｢これ見て？｣

大山は次はその子のプロフィールのサイトを見せてきた

ん？渡辺沙耶18歳、うん。

んで？好きな物 バイク

趣味 レース観戦

特に スーパーバイクスペインシリーズ！？？？

いやいや、この子オタクじゃねぇか

｢晴樹が出てるレースじゃん、しかも日本人1人だけだよ？もしかしてと思わない？｣

んだよ、ねぇよ、んなこと

鼻で笑いながら返したが、心臓の音が速くなった

出会いねぇと思ってたけど、まさかね

空港につき、大山も荷物を一緒に持ちロビーまで来てくれた

サンキューな大山

｢晴樹、チャンピオンになったらさ、これあげるよ｣

大山はそう言いながら何かのチケットを見せた

｢映画 チェーンロック 舞台挨拶｣

お、おう、少し動揺しながらそう返した

｢じゃあね行ってらっしゃい 帰り都合合えば迎えに来るよ｣

そういう大山に背を向け出国ロビーに向かった