サヤ高校2年生 ハルへの気持ち

キーンコーンカーンコーン


「やっとお昼休みだー! サヤーお昼行こー」


沙織が声をかけた彼女は教科書のない机に突っ伏して寝ていた


「また寝てんじゃん。ほらサヤ、カレーなくなるよー」


はっ!また寝ちゃってた!

うわー、ヨダレで濡れちゃったよー


広げていたスケジュール帳と、スポーツ雑誌、昨日パソコンでコピーしたプリント

どれも授業で使うものでは無い



「で?決まったの?」

沙織が、カレーをすくいながら聞いてきた


どう計算しても、足りないんだよね

でもさぁ!日本でやるのこれだけなんだよ!

来年は違うカテゴリーに行くかもしれないし!


「まぁよくわかんないけど、生で見たことないんでしょ?杉村君のレース」


ないよ!だって、世界のあちこち回ってるし、テレビでしか見た事ない


「でもバイトもやってるし、モデルのギャラも入ってるんじゃないの?」


そうなんだけど、こないだカメラ買っちゃって……


「いくらの?」


……レンズ抜きで、50万、レンズは持ってるからさ


私がそう言うと沙織はカレーを勢いよく吹き出した


「それ絶対女子高生が買うカメラじゃないじゃん!50万って、金持ちすぎるでしよあんた!」


あははは、だよね、ずっとお父さんのお古使ってたし、いいの欲しいなと思って。


「まぁいいけど、てか杉村君ってどんな顔してんの」


沙織はそう言うと、私の見ていた雑誌を取り上げた


「え、めっちゃイケメンじゃん、こりゃ好きになるの無理もないわ」


そ、そんなんじゃないよ、顔なんてどうでもいいんだ、こうなんかさぁ、あのスピードと、あの走りに私は惚れちゃったんだよ!凄くない?曲がってる時地面に膝摩ってるんだよ!めっちゃカッコイイじゃん!


「またサヤのオタク論が始まったぞー。てか、だからこないだ水泳部の原口に告られた時、振ったんだ」


そ、それは、なんかさぁ原口は違うじゃん


私はそう言いながら、カレーを口に運び、スマホで、情報収集していた…


スマホの通知を見て驚いた


ねぇ!!沙織これみて!

私はその画面を開き、沙織に見せた


「え!あんた次、映画出んの!?それもほぼ主役みたいな役じゃん」


やった!

これで、見に行ける!


私は映画に出れる喜びより、資金が調達できるという方が大きかった




待っててね杉村君







これはまだハルとサヤが付き合う5年前の話

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